本気.29［マギ］ (ページ19)

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「人に偉いこと言っといて、それ自分でできてないって自覚あんのかよ？」

＿アリババ……

「わたしのことずっと騙してたのね……！酷いわ、人でなし！所詮”従者”なくせに、私の下僕なくせに！」

＿紅玉…？

「……」

＿モルジアナ！行かないで……

「ごめんね」
「じゃあな」
「お前に教えることは無い」
「さようなら、」
「またね」
「また逢う日は、敵だろうな。」

ヤムライハさんシャルルカンさんスパルトスさんジャーファルさんピスティさんシンドバッドさん。

「ごめんよおねいさん……どうしても僕には、おねいさんのことが理解出来ないんだ。

なんでそんなに、僕を頼るんだい？もう、うんざりなんだ。」

＿アラジン!!

＿あなたもあなたもあなたもあなたも。

手を伸ばしても、みんな去っていく。

彼なら、あの子なら、あいつなら、

私を愛してくれると思ったのに。

涙でグチョグチョの絶望しきった顔で座り込んだ。

＿誰も愛してくれない。どうして？そんなに役立たずかな、そんなに居ると不快かな？そんなに悪い子かな、そんなに不細工かな、そんなにそんなにそんなにそんなに……

そんなに、みんな私の事嫌いなの？

その時、手がさしのべられた。

光だった。

「A殿、俺の所へ来てください！」

彼こそが光だった。彼そのものが光だった……。

「あなたの居場所は、ここなんです！」

隣でジュダルも笑ってる。

優しい、暖かい。

「愛してる」

抱きしめてくれる。頭を撫でてキスをしてくれる。

見捨てたりしない。ずっと私を愛してくれる。

＿彼女は歪んだ笑顔をうかべた。涙をボロボロと流しているのに心から幸せそうだった。

愛のない奈落の底にまで迎えに来てくれた彼は間違いなく彼女にとって光だった。かけがえのない人だった。

「あなたさえいればなにもいらない。ずっと一緒にいて。

ずっと。」

▲▲▲

(そうだ、私には彼しかいない。)

そう思わないことは不可能であった。たった一瞬の魔法であるのに、彼女の幼少期からの記憶全てが虚像に塗り変わり、それは彼女の人生そのものであった。
大切な人が殺される、自分が殺されかける。
そんなことより、単純なものこそが人を恐怖に陥れ、トラウマをうえつけて依存させる。

＿愛。それこそが、正義。

彼女は彼の為ならば構わず手を血に染めよう。彼の為ならば構わず体を差し出そう。

(だって、彼だけが私を愛してくれるんだもん)

必然。