入院 ページ10
体の限界が訪れたのは、拓朗さんに告白されてからまた二週間程が経過した日のことだった
最近は前よりも食欲が減ったせいなのかオフィスに行くまでの道すらもキツくて
今日も途中休み休みで拓朗さんとオフィスまでの道のりを歩いていた
周りの景色は徐々に春に向けた物に変わり出していて、時の流れの早さに圧倒される
この風景を、私はもう一度見ることは出来るのだろうか
拓朗さんとこうして手を繋いで、この風景を見て、笑い合うことは出来るのだろうか
なんてネガティブな考えばかりを脳内で巡らせているうちに、目の前には見慣れた建物
オフィスに到着した頃には軽く息があがっていて、クイズノックの方達に心配されながらソファーに向かう
「A、大丈夫なん？」
「大丈夫です…ちょっと、疲れて…」
「ソファー座っとき。なんか飲み物取ってくるから」
拓朗さんに促されるままソファーに腰を下ろして一息つく
…情けない。病気のせいだとは分かっているが、普通の生活すらも送れなくなりそうな自分が、情けない
なにより、拓朗さんに迷惑ばかりかけてしまっている自分が、情けない
最近は特に腰が痛くなる頻度も段々と多くなってきて、しょっちゅう彼に心配をかけてしまっている
やっぱり…無理矢理にでも、告白を断るべきだったのだろうか
その方が彼にとっても…
「葉月さん」
ここに来るまでのようにネガティブなことばかり考えてしまっている私の元に、突然影がさす
顔を上げると困ったような顔をしている伊沢さんが立っていて、彼はそのまま隣に腰掛けると優しい声で「川上となんかあった？」と聞いてきた
その目はなんでも見据えている気がして、思わず口を開く
「…ほんとにこれで良かったのかなって、思ってしまって」
精一杯の笑顔を作ってなるべく重たい空気にならないように心がける
だけどそんな心掛けは意味をなさなくて、伊沢さんはうっすらと浮かべていた笑顔を封印した
それが、今から大事なことを言うから、ちゃんと聞いて、と言っているようで
彼の目をしっかりと見つめ返して、口を閉ざす
「少なくとも川上は、あの選択をして良かったって思ってると思う
病気の事を知れたからこそ、あいつは必死に不安と闘いながら、どんな時でも傍にいようって頑張ってる
ずっと傍にいれば、どんな結果であれ後悔しないと思うからってさ」
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三宵 - マジで、本当に、号泣しました。この作品を作ってくれてありがとうございます。合掌もんです。本編では葉月ちゃん死んじゃうのに、番外編？では奇跡的に完治してくれた話も作ってくれて本当にありがとうございます！私もハッピーエンド大好き馬鹿です。 (2月25日 10時) (
レス) @page50 id: bf60c8d8c1 (このIDを非表示/違反報告)
s.u - 本当に、感動しました…！私は文章力がないので、本当に羨ましいです…。最後の方は涙でいっぱいでした。お疲れ様でした！ (2021年9月25日 12時) (レス) @page50 id: 4835169485 (このIDを非表示/違反報告)
限りなく1に近い4。 - あの、本当に、まず一つこの作品に出会わせていただけたことに感謝しています、一気に読ませて頂きました。最終話に近づくにつれ涙がボロボロ出てきて、こんなに作品へ感情移入したのは本当にいつぶりだろうってぐらいです。完結おめでとうございます。最高でした…！！ (2021年9月15日 0時) (レス) id: eeb9744d1e (このIDを非表示/違反報告)
わぁわぁ(プロフ) - 読ませて頂きました、自分が涙脆いのか最後の方ボロ泣きで読めなかったです…めちゃくちゃいい話でした！ループします… (2020年11月28日 21時) (レス) id: ed6a811a98 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - もの凄く良いお話ですね…。涙が溢れました。川上さんに本当にそんな過去があった気がして……。なかっとしても同じような過去を抱えていると…。もう書くことが言葉に出来ません。すみません。ただ、本当に感動しました。 (2020年9月27日 17時) (レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
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