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「渡辺先生…！早くしないと朝礼に遅れ」
「いやそれどころじゃないって先生！これどう見てもいじめですよね？！」
「…渡辺先生、ちょっと」
どうやらあの先生は渡辺先生というらしい
渡辺先生はこのクラスの担任に連れられて、教室を出ていってしまった
…嫌な予感がする
そう感じるか否か、私は椅子から突き落とされた
「あんたのせいでバレるところだったじゃない」
「ご、ごめんなさ……ｯ！」
ズキッと突如痛む腰。その痛みに踞るも、彼等にはそんなの関係なくて
チャイムが鳴るまでの間、ずっと罵声が聴覚を支配し続けた
『…君、こんなとこでどしたん？』
けれど、泣きたくなるほど優しいその声が、また聞こえたから
それだけで、なんとか今日一日も、私は乗り切ることができた
憂鬱な気分のままの迎えた放課後。部活に向かったり友達と仲良く話をしながら下校する生徒達
その中に溶け込めず、今日も私は一人黙々と鞄に荷物を詰め込んで、教室を出た
帰っても、居場所がない。学校に居ても、居場所がない
私は…死ぬまで、こんな生活を続けるのだろうか
「―――葉月さんっ！！」
足を止める。まだ耳に馴染んでいないその声に、聞き覚えがあったから
振り返ると、朝礼で教育実習生として紹介されていた渡辺先生がこちらにやって来ていた
「葉月Aさん、だよね？」
「は、はい…葉月、A、です。えっと、渡辺先生、ですよね？」
「そう！あのさ、実は、葉月さんに伝えたいことがあって」
急に改まる渡辺先生に、私も思わず背筋を伸ばしてしまう
真っ直ぐで、力強い目。なんだか、あの人に似ている
「葉月さん。なんかあったら、絶対俺のとこに来てね。俺、教育実習生だから、二週間しか居ないけど
でも、その間なら、いつでも相談に乗るから」
ニカッと笑って絶対だよっ！と私の返事を聞かずに去っていく渡辺先生
…明るくて、優しくて、良い先生だな。将来教師になったら、絶対人気の先生になりそう
久々に感じた、ポカポカした気持ち
その気持ちが消えない内にと、私は早足で校舎を後にした
この後は、バイトだ。全国チェーンの大企業、と言ったら聞こえは良いけど、実際はただのコンビニアルバイト
緑と青と白の線を眺めて、店内に足を踏み入れる
制服に着替えながら、今日も決心する
…今日こそは、忘れよう。彼のことを、全部
だって彼は、一日だけ一緒に居てくれただけの人だから
今はただの、赤の他人だから
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白菜(プロフ) - すずどらさん» こちらこそコメントありがとうございます。とても励みになります。誰かの心に響くような話を書くことができて良かったです。更新頑張ります (2019年12月15日 16時) (
レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - あやかさん» こちらこそコメントありがとうございます。誰かを好きになるって大変なんだな、と書いた本人ながら思ってます。これからも切ない恋の模様を見守って頂けたら幸いです (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 僕の推しは川上さんなので凄く嬉しかったです。せつない作品で、とても良いな、と心に染みています。また、続きを楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2019年12月15日 10時) (レス) id: 66850163cc (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - せつない作品をありがとうございます。現在さめざめと泣いております…。続きをお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。 (2019年12月15日 0時) (レス) id: 7a1dedd698 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Qさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます！！無料世界一周旅行出来るくらいの作品が書けているかはまだまだ自信ないですが、そう言って貰えると本当に嬉しいです！！Qさんもインフルエンザにはお気をつけて！ (2019年12月9日 14時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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