【Q|K】愛したい【kwkm】

病気 ページ49

こうちゃんとカフェから少し離れた交差点で別れて、後は帰るだけだと、すっかり暗くなった空を見上げる

雲一つない無駄に晴れた空が何だか憎たらしく思えて、少し眉間にシワを寄せる

こんなにも空は晴らせるのに、どうして神様は私の心は晴らしてくれないのだろうか

なんて、なにを言っても仕方がない相手に悪態をつく


「…帰ろう」


きっと明日も、同じ日々を送るのだろう

そして…そのまま、私はこの世から消えるのだろう


―――…この時までは本気でそうだと、思っていた


「っ葉月さん！！」


そんな声に、引き留められるまでは

弾かれるようにして振り返る

そこには、ずっと頭に思い描いていた人が真っ直ぐと私を見つめていた

思わず口から「川上、さん」と掠れた声が出る


「―――貴方の事が好きですっ！」


ずっと、ずっと言われたかった言葉が、鼓膜を揺らす

突然の事に言葉が見つからなくて、どうしたら良いのか戸惑う私に、彼は言葉を続ける

涙が出そうなほど、嬉しい言葉

真っ直ぐで、揺るがないその瞳から、目を逸らせない

集まる周りの視線も、今だけは、気にならない


「だから…嫌いなら、嫌いって言ってほしい」


…川上さんは、こんなにも真っ直ぐに思いを伝えてくれた

なのに私だけ、このまま逃げていて良いのだろうか

好きだと言ってくれた人から逃げて、逃げて、一人でこのまま一生を終えて良いのだろうか

それは、私が嫌だと思い続けてきた事じゃないのか

誰かに愛してほしいと願ったのは、私じゃないのか


「……私、は…」


…でも、私なんかが、彼の人生を振り回して良いのだろうか

私なんかの為に、彼を悲しませて良いのだろうか

私が……


『俺はAちゃんが後悔しない選択をしてほしい』


…私が、後悔しない、選択…


「…川、上さん」

「なに、葉月さん」


私が気負いしないように優しい笑顔でそう聞き返してくれる川上さん

私は、彼のこんな優しさが、クールそうだけど、実は誰よりも真っ直ぐな川上さんが、大好きだ

今までの人生の中で、一番、大好きな人なんだ

そんな彼にもうこれ以上……隠し事はしたくない

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