【Q|K】愛したい【kwkm】

． ページ46

川上side


葉月さんから返信、既読すら付けてもらえなくなってから、またもや一月経とうとしていた

俺の手の中には相変わらず一方的なメッセージだけが溜まっていくトーク画面

おはようとおやすみ、だけは律儀にも送り続けているせいか、これだけ見ると完全にヤバイ奴だ

…ここまで未読スルーされるということは、もう完全に嫌われたということなのだろうか

今頃葉月さんも、「なにこいつうざ」とか思っていたりするんだろうか

いや、そんな子ではないと分かってはいるが、人は一度余計な想像をしてしまうと余計にその想像を広げてしまう生き物なのである


「…はぁ」


今日何度目かのため息が無意識に口から漏れる

普通、こんなにも無視をされたら諦めた方が良いと言われそうだが、ここまで誰かに惚れたのは初めてで

…このまま諦めた風は気取れても、きっと完全には諦めきれないと思う

それに、


『…今日の事は、忘れてください』


あの笑顔が、脳裏に貼り付いて離れないから

今諦めて手を引いたら、なにか、とんでもない後悔をしてしまいそうで

伊沢さんに言われた「絶対手放すな」という言葉が、心が折れかけると必ず聞こえて

少しでも繋がりを持っていたいと、こうして挨拶だけは毎日欠かさずに送ってしまっている


「そんな泣きそうな顔すんなって川上君！」

「…須貝さん」

「お前がそんなんじゃ葉月ちゃんも悲しむぞ〜」


悲しみませんよ、というのは自分で自分の傷口に塩を塗ることになるのは目に見えているのでやめておく

ソファーに腰かけてスマホとにらめっこしている俺の肩を抱くようにして隣に座った須貝さんは、「なになに？」とヤバイトーク画面が映ったスマホを盗むと、躊躇うこと無くスクロールし始めた

慌てて取り返すも、凄い哀れみの目を向けられたので多分時既に遅かったのだろう

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