【Q|K】愛したい【kwkm】

オフィス ページ28

川上おはよ、葉月さん


そんなメッセージと共に始まった今日

川上さんに今から会える？と言われた日から、前よりも増えた会話

朝は必ずおはようから始まって、夜はおやすみで終わる

まだ慣れないけど、なんとなくそれが染み付いてきた、今日この頃


「―――渡辺先生、お願いします」

「はい」


あ、そうだった、と背中を伸ばして、ステージの真ん中に立ってマイクを調節する渡辺先生に視線を移す

今日は渡辺先生がこの学校に来て二週間

そう、今日で先生の教育実習は終わり。明日からは、大学生と高校生という関係に戻る

寂しいような、悲しいような

そう思っているのはきっと、私だけではない


『葉月さん！』


…あの声も、もう聞けなくなるのだろうか

また、前と同じ日々を繰り返すのだろうか


………まぁどうせ、行き着く先は同じだけど


「葉月さん！！」


いつも通りの放課後。きっと、もう聞けなくなるであろう声が後ろから聞こえてくる

…私が、笑顔で居ないと。折角先生の最後の日なんだ。泣き顔なんて、見せちゃダメ

寂しい気持ちを押し込めて、笑顔で振り返る

先生は、両手で溢れるくらい大きな花束を貰っていて、愛されてるなと何故か私の方が実感してしまう


本当に、良い先生だった。彼ならきっと、どんな学校に行っても大丈夫だろう

彼ならきっと、どんな学校に行っても好かれる先生になるだろう

先生になるかは聞いてないから分からないけど


「渡辺先生。大きな花束ですね」

「そーなの。想像よりでかくてビックリしたよ」


いつもの笑顔。彼のその笑顔に、なんど救われたか

くしゃっと笑う幼さが残る笑顔。見ているだけで心がポカポカする笑顔

彼からは、川上さんのような、とっても優しい雰囲気がする

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