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ページ27

「…見せて」

「………はい」

「うわ、どしたんこれ」


目の前に差し出される腕の袖を慎重に捲っていくと、現れたのはまるで殴られたような青アザ

そりゃ痛いわけだ。なにも知らずに掴んでしまったのが申し訳ない


「…階段でつまづいた時に、角でぶつけてしまって」

「それ想像するだけで痛いやつ…帰ったらちゃんと冷やしなよ」

「はい」


へへ、と子供らしい笑顔を浮かべる葉月さんに、俺も少し安心する

葉月さんが笑っているときが一番安心する俺は、どこまで彼女に惚れているのだろう


それから、どちらからともなくそろそろ帰ろうかという雰囲気になって席を立ち、会計を済ませて外に出る

コートを羽織る横で、左手だけでマフラー巻こうとして苦戦しているらしい彼女

その姿を少し眺めて俺は葉月さんの正面に立ち、ずり落ちそうなマフラーを手に取る


「巻くから、腕下ろしてて」

「あ、ありがとうございます…」


近くなる距離。鼻をかすめる柑橘系の匂いは、大学でも嗅いだ事があるような気がする

きっとそういうシャンプーかリンスかトリートメントなのだろう

男の俺にはあまり馴染みがないその匂いは、鼓動を速くさせるには十分すぎて

この音が葉月さんに聞こえてないか、心配になる


「ん、巻けた。違和感あったらごめんな」

「だ、大丈夫、です」


マフラーを少し上げて口許を隠す葉月さんの頬がほんのり紅く見えるのは多分、この寒さのせいだろう


「じゃあ、おやすみ。葉月さん」

「っおやすみなさい、川上さん」


人混みに消えていく、小さな背中を見て俺も帰ろう、と踵を返す

―――踵を返す時、視界の端で誰かが踞ったような気がしたのは、俺の気のせいだろうか

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作品ジャンル:恋愛
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白菜(プロフ) - すずどらさん» こちらこそコメントありがとうございます。とても励みになります。誰かの心に響くような話を書くことができて良かったです。更新頑張ります (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - あやかさん» こちらこそコメントありがとうございます。誰かを好きになるって大変なんだな、と書いた本人ながら思ってます。これからも切ない恋の模様を見守って頂けたら幸いです (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 僕の推しは川上さんなので凄く嬉しかったです。せつない作品で、とても良いな、と心に染みています。また、続きを楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2019年12月15日 10時) (レス) id: 66850163cc (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - せつない作品をありがとうございます。現在さめざめと泣いております…。続きをお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。 (2019年12月15日 0時) (レス) id: 7a1dedd698 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Qさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます!!無料世界一周旅行出来るくらいの作品が書けているかはまだまだ自信ないですが、そう言って貰えると本当に嬉しいです!!Qさんもインフルエンザにはお気をつけて! (2019年12月9日 14時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月7日 23時

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