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「ん」


それから少しだけその場で会話をすると、突然目の前に差し出される大きな手

その手に自分の手を近づけるのがなんだが申し訳なくて躊躇っていると、川上さんが「嫌やった?」と首を傾げてしまったので、否定するようにブンブンと首を左右に振る

そんな悲しそうな顔されたら誰でも繋いでしまうと思う

躊躇いながらも痛くない左手で彼の手を取ると、クールな感じからは想像も出来ないくらい可愛らしい笑顔を、川上さんは浮かべてくれた


「えっと、どっか行きたいとことか、ある…?」


そう言って、あの日の様に絡められる指。あの日のように、合わせてくれている歩幅

ぶつかりそうになったら、引き寄せてくれる腕

その一つ一つに馬鹿みたいにドキドキして、胸を押さえる―――瞬間、僅かに痛む、腰

今は感じたくなかった、運命


…彼には、彼にだけは、知られたくない。このはにかむような笑顔を、崩したくない

川上さんに、心配かけたくない。だから、どうか今だけは…なにも起こらないで


「と、特には…」

「まぁ、そりゃそうよな。えっと、適当にカフェでいい?」

「は、はいっ」


川上さんが連れてきてくれたのは、学校帰りの学生や仕事帰りの人達がちらほらいるカフェ

キョロキョロする私に何も言わず微笑んでくれる店員さんに案内されたのは、一番奥の窓際

流石に隣に座るのはハードルが高くて、左手の温もりは離れてしまった

…少し、寂しい


「なんでも好きなん頼んでええよ。急に呼び出したから、そのお詫び」

「え、で、でも」

「子供が遠慮せんの」


子供。どうすることも出来ない壁を改めて実感して、大人しくメニューを受けとる

そっか、そりゃ、そうだよね。川上さんから見たら、私は、ただの子供だ

変なお願いをしたから、印象に残ってしまっただけの、子供

…そうだと分かっても、少しだけ期待してしまうのは、やっぱり子供だからなのかな

ただの子供の方が彼にとっても良いって分かってるのに、同じ気持ちだったらと望んでしまうのは、わがままで、最低なのかな

。→←好きな事



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作品ジャンル:恋愛
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白菜(プロフ) - すずどらさん» こちらこそコメントありがとうございます。とても励みになります。誰かの心に響くような話を書くことができて良かったです。更新頑張ります (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - あやかさん» こちらこそコメントありがとうございます。誰かを好きになるって大変なんだな、と書いた本人ながら思ってます。これからも切ない恋の模様を見守って頂けたら幸いです (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 僕の推しは川上さんなので凄く嬉しかったです。せつない作品で、とても良いな、と心に染みています。また、続きを楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2019年12月15日 10時) (レス) id: 66850163cc (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - せつない作品をありがとうございます。現在さめざめと泣いております…。続きをお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。 (2019年12月15日 0時) (レス) id: 7a1dedd698 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Qさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます!!無料世界一周旅行出来るくらいの作品が書けているかはまだまだ自信ないですが、そう言って貰えると本当に嬉しいです!!Qさんもインフルエンザにはお気をつけて! (2019年12月9日 14時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月7日 23時

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