【名探偵コナン】Sangria 3【赤井秀一】 (ページ9)

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File.33 "殺したい程" ページ9

『ん?』

数日前、赤井に貰ったスマホが着信を告げていた。

時刻は午後7時
今日は子供達が商店街の福引で当てたお食事券で、米花ミラノホテルに行く、と言っていたが...

『もしもし?』
「お、出たな...俺の拳銃を2つ持って、こっちに来てくれ。」
『え、急にどうして?』
「ちょっとマズい事になってな...とにかく、早く来てくれ」

一方的に切られた通話に、1人取り残される。

なんなんだ一体...

仕方なく、2階のクローゼットの中に隠してある鞄を取ってリビングに降りる。

何が起きているのかは分からないが...
まぁいい、急ごう

.

「すまない」

暗い非常階段の踊り場で、赤井は鞄の中身を覗く。

『で、何があったの?』
「このフロア全体に爆弾が仕掛けられてる。」
『はぁ!?』

突拍子もない発言に、思わず大きな声が出る。

『爆弾って...さっさと逃げなさいよ!』
「それがそういう訳にも行かないんだ。このホテル、15階建てなのに14階までしかエレベーターのボタンが無かっただろう?」
『えぇ、妙だなとは思ったけど...』
「この上のフロアはマンションになっていて、別の入口があるらしい。そして、そのフロアに今いるのは.....」

「ジン」

『...まさか、そんな訳、』
「そのまさか、だ。」

カチャ、と音を立てて彼は弾を確認し、私に渡す。

「それは君が使え。君に志保を任せる」
『本気?』
「あぁ、本気だ。」

赤井が胸ポケットに拳銃を入れ、ゆっくりと息を吐き出す。

「爆弾は組織とは関係がない人物が仕掛けたものだ。お陰でタイムリミットが読めない。」
『じゃあ、一体誰が?』
「それは問題ない。あの坊やがどうにかしてくれる」

新一くんか...

「とにかく、俺は上に行く。君は下で彼女を見張っていてくれ。何かあったら撃っていい。」
『...待って、私もーー』
「大丈夫だ、心配するな」

鞄を持ったまま、非常階段を登る赤井を見つめる。
と、彼は不意に振り返り、

「頼んだぞ、リア」

優しく頭を撫でて、そう言った。

.

.

.

その瞬間は、突然訪れた

ﾊﾟﾁﾝ

そんな軽い音が聞こえた後、遠いところで爆発音が聞こえる。

『...始まったか!?』

非常階段のドアを急いで開け、レストランの中に入る
宮野志保は...いた!

柱の陰に隠れ、そちらの様子を伺う。

「ふはははは! 毛利小五郎、これでお前も道連れだ!」