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『でも、作り方がわからなくて...』
「ふぅん...貴方、名前は?」


怪しんでる...
それもそうか。




"椿華夜"にそっくりな子供が、普通なら学校に行っている時間帯に街にいるのだから。




『わ、私の名前はA!』
「A...そう。」



え、なんでそんな悲しそうな顔をーー



「それなら安室の兄ちゃんがいいぜ!」


男の子の大きな声にハッとして顔を上げる。


『あむろ?』
「うん、すっごく料理が上手なの!あっ、コナンく〜ん!」

そう言って少女が振り向いた方から歩いてきた少年に、思わず心臓が止まりかける。


工藤新一...!!


「コナン、今日安室の兄ちゃんいるよな!?」
「あ、あぁ、いると思うけど...」


少年がじろりと私を見る。


マズいな...
宮野志保はともかく、この男とはあまり関わりたくない。
それに、"あむろの兄ちゃん"って...

ぐるぐると頭をフル回転させていると、グイッと少女に無理やり腕を引かれる。


『えっ』
「ほら、ここですよ!」
「あむろの兄ちゃぁぁぁぁん!!」
「ここは私達が行きつけの喫茶店なんだよ〜!」
『え、ちょ、待っーー』
「いらっしゃいまーー」


男と視線が絡んだ瞬間、その手からカップが滑り落ち、パリンと嫌な音を立てる。

しかし彼は、あたかもそれが目に入っていないかのように、ずんずんと私に近づき、両手で強く肩を掴んだ。



「き、君は......」



「この子はAさんって言って、お菓子を作りたいらしいんだ! だから今日、ポアロに来て...って、あむろさん、どうしたの?」


驚いたようにその大きな瞳を見開かせて、彼が私を見つめる。


ヤバい
赤井と安室の因縁がまだ残る今、私の生存がバレてしまえば、赤井は私の誘拐及び殺人容疑で公安に拘束しかねられない。

今はまだバレたくない。
どうにかして、逃げ切らなければ...



「Aーー」
『お兄さん、お皿割れてるよ?』
「へ?」
『大丈夫、私も一緒に怒られるから一緒に片付けよう!きっと怖くないよ!』
「あ...」


安室ガバッとしたのか、慌てて私の肩から手を離す。
乗り切っ...た?

「安室さん?」
「あ、あぁ、大丈夫、ごめんねコナンくん...で、今日はどうしたのかな?」
「あのね、この子にお菓子作りを教えて欲しいの!」
「え?」

皿の破片を集めていた安室が、訝しげな表情で私を見つめる。

*→←File.32 "魔法使い"



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カンナ(プロフ) - とても面白かったです。後先考えられる面白い作品でした。大変な時ですが頑張って下さい。 (2020年4月19日 0時) (レス) id: 429d40b89b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2020年4月1日 16時

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