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「と、とにかく、あの人を置いて逃げるわよ!」
「...出来ねぇな」
「え!?」
「追い詰めた末に犯人を死なせちまう探偵は、探偵失格なんだよ...」
「そんなこと言ってる場合!?」
「お前は逃げろ」
「え?」
「俺はこの人を捕まえて、必ず罪を償わせる。約束だ。」


真っ直ぐと彼が私を見つめる。

小さな身体の私達には、あの男に立ち向かう拳銃も、組織を壊滅させるような爆薬も持っていない。

だから逃げるしかない



今は



「...これで死んだら、タダじゃ置かないわよ」
「お〜怖い怖い。」


ふざけたように言う彼に背中を向け、走り出す。

ジンがいたのは、ちょうど西側の非常階段の方向。
確か、反対側にも階段があるはずだ。

暗闇の中で光る非常口のランプが見える。


よし、あそこまで行けばあとはーー


「やはりお前だったか、シェリー」


低い声が聞こえて振り向くと、真後ろに大きなシルエットが見える。


「あ、あ、」
「久しぶりだな、シェリー。その姿はどうした?」


声が出ない。
助けて、助けて工藤くん、



誰かーー!!





カラン...




何かが転がるような音が聞こえて目線を向けた瞬間、絶句する。


これ...手榴弾!?


「何ッ!? 誰だ!?」
『非常階段に入りなさい!』


ジンの背後の影
長い髪が揺れているのが見える



あれは.....あれは...!!



急いで振り向き、非常階段へ走る
足元を銃弾が掠めた


『早く!』


パァン!


背後で銃声が響き、少しだけ振り向くと、ジンの手から拳銃が滑り落ちるのが見えた。


長い髪のシルエット...
間違いない、あの人はーー


急いで非常階段に入ると、すぐに凄まじい爆風が襲う


「...っく、」


風でドアが勢いよく締まり、吹っ飛ばされる。
壁に勢いよく頭をぶつけてしまった。


「痛.....」


頭をさする。
これはたんこぶになりそうだ...


「...とにかく逃げなきゃ...」


重い足で立ち上がり、階段を走り降りる。



工藤くん、大丈夫かしら.....




.



.




ーーーーー


爆風が目の前を通り抜け、目を細める。
やったか...
にしても、赤井は何をやってるんだ!?


まさか、



「とんでもないことをするな」


背後から声が聞こえて振り向くと、口元に傷を作り、煙草をふかす見慣れた男の姿があった。


「手榴弾をくすねる悪い子はどこの悪い子だ?」
『...お父さんのだから知らな〜い!』
「フッ...」


赤井が鼻で笑って、ジンがいた方へ背を向けて歩き出す。


『どこに行くの?』

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カンナ(プロフ) - とても面白かったです。後先考えられる面白い作品でした。大変な時ですが頑張って下さい。 (2020年4月19日 0時) (レス) id: 429d40b89b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2020年4月1日 16時

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