【名探偵コナン】Sangria【赤井秀一】

＊ ページ16

「ｯ...」

銃口が震える。

角の向こうの誰かは、拳銃の弾を確認しているような音をさせながら、こちらへ向かってきていた。

近い、
あと、3歩、2歩...

「い、いやぁｯーー「オイ」



恐る恐る目を開ける。
と、背の高い、顔の怖い男が私をじっと見ていた。

「...何をやっている」
「え、え...」
「お前、シェリーか?」

足がすくんで動けない。
どうしよう
助けて、お姉ちゃんーー


「.....明美、保護したぞ。」



「...へ?」




ｰｰｰｰｰ



『クソ...マズった...』

足を引きずりながら歩く。
もう残弾も少ないし、足に被弾してこのザマだ。

太ももにイったが、致命傷は免れたらしい。
が、傷口を抑える手のひらはもう血だらけで、今にも拳銃が手から滑り落ちそうだった。

『はぁ、はぁ...』

とりあえず座る。
疲れた...

『...クソｯ、』

私、なんで組織の幹部なんか守ってるんだろう

痛みがどんどん増してくる
撃たれた時はそんなに無かったのに...

誰かの足音がする

けれどもう無理だ、歩けない
もしかして、さっきジンが言ってた応援か...?

「お前か!? ボスを殺ったのは!?」

なわけないよな...

『ぐっ、』

腹に思いっきり拳がめり込む。

『かは、ｯ、』
「許さない、嬲り殺しにしてやる...!」

もう1発殴られたところで、床に放り投げられる。

すると、向こうの廊下から誰かが走ってくるのが見えた。あれは...

『ふはっ、...殺ってみろよ』
「てめぇ、女だから手加減するとでも思ってんのか?」

奴が拳銃のスライドを後ろに引いて弾を確認する。

「じゃあな、女。お前は顔がいいから、1回位抱いてやりたかったよ」
『は、言ってろ、...野郎』
「...あン?なんだと?」
『あぁ?聞こえなかったのか、もう1回言ってやるよ』


『このクソ野郎!!! さっさと殺してみろよ!!!』


ﾊﾟｧﾝ、


銃声が鳴り響いた後、男の体から力が抜けて、体が空中に投げられる。

やば、受け身取れな...

そう思って、地面に打ち付けられる衝撃を待っていたが、予想とは裏腹に誰かに抱きとめられて煙草の香りに包まれる。

「...あんまり無理をするな」
『...ライ』


.



『いったぁ! もうちょっと丁寧にしてくれない!?』
ラ「...うるさい」

太ももに包帯が巻かれる。

ラ「お前な、こんな状態で敵を煽る奴がいるか」
『あんたの姿が見えたからよ。この前の仕返し。』
ラ「...まぁ、感謝ならシェリーに言うんだな。」
『え?』

ぽんぽん、とコートの裾を叩いて、ライが立ち上がる。

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