検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:102,441 hit

Battle_25 ページ25

.



「すみません、巷で騒がれている辻斬りについて聞きたいんですけど」

「ひっ…他を当たって下さい…!!」


ある女性を尋ねたところ、私の刀を見ると直ぐに逃げ出してしまった。
ううん、何とも何か知っていそうな雰囲気。
追いかけようか迷っていたところ、逃げて行った女性の落とし物を見つけた。


「藤の花の御守りだ。
やっぱり追い掛けよう…!これもあれば聞けそうだし!」


女性が行ってしまった後を追い掛けた。
見つけた時には買い物をしている様子だった。
その肩をぽんぽん、と叩いてさっき、落としましたよ、と声を掛ける。


「っ!ぁ…」

「驚かせてごめんなさい。
どうしても辻斬りのことが知りたいので教えてくれませんか?」


女性は震えながら、こくこくと頷いてくれた。


「…信じてくれないかもしれないとお、思いますが…刀を持った鬼が…私の母を襲って…
その時持っていた御守りを突き付けたところ私は助かったのです」

「遭遇…したんですね?」

「はい、それから…母はその後倒れたまましばらく話していたんです。
自分の首も胴も斬られていることも知らずに喋っていました…」


動揺した。
相当の刀の使い手なことは分かった。
同時に思い当たる節がある。
斬ることを頂まで極め、痛みすら与えない剣技を磨いた人。


「話して頂きありがとうございました。
必ず、私がその鬼を斬ります」


父上しかいない。
十二鬼月の鬼では無いにしろ、勝てるだろうか。
些か、不安が拭えない、そうしていても仕方がない。
彼女には御礼をして、去った。


「…うん、腹が減ってはなんとやらだよね。
ご飯食べて元気に鬼殺!」

***

私はそれはもう礼儀正しい御屋敷の子だったんだけれど。
女の私は必要とされなかった。
五つ年上の兄上は強くて優しいくて、一つ下の双子と弟と妹もいた。
母上は病弱で、父上は男の子にしか価値を見出さず、私と妹には見向きもしなかった。

それでも私には人並外れた筋力と剣の才能はあったはずなのに、認められなかった。
妹は直ぐに諦めて、女らしいという生き方を受け入れていた。


父上は厳しい人だった。
明治時代に生まれ、1度母上から聞いたことがある話では九代四十四院浅右衛門という罪人の処刑人だったと聞く。
父上が人を斬ったところなど見たことは無いが、太刀筋は風のように一瞬だった。
いつも揺るがぬ精神で表情も一切変わらない冷たい人だった。


それも、鬼に屋敷を襲われた事で私は全て失ったけれど。



.

Battle_26→←Battle_24



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (178 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
497人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

一橋(プロフ) - はい!(´∀`*) (2021年1月3日 1時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
サワ - お気になさらず!ゲーム、楽しいですもんね(笑)仕方ないです!!これからも応援しています!頑張られてください! (2020年12月21日 16時) (レス) id: 6562c3d1b8 (このIDを非表示/違反報告)
一橋(プロフ) - サワさん» 大変お待たせしました… (2020年12月21日 6時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
サワ - 待ってましたぁぁぁぁぁぁ!!!これからの展開もドキドキです!頑張ってください! (2020年12月12日 22時) (レス) id: 6562c3d1b8 (このIDを非表示/違反報告)
一橋(プロフ) - :-)さん» 嬉しい!!ありがとうございます!頑張ります〜!! (2020年12月12日 18時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:一橋(愛之助) x他1人 | 作成日時:2020年11月24日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。