第五話「助けてヒーロー」 ページ6
「はあ…はあ…撒いたか……あれ?」
緑プールから逃げている間にけっこう遠くに来てしまったらしい。
当然ここがどこかわからない。そこで俺は兼ねてから温めておいた奥の手を使うことにした。
「あのぉ…さっきからついて来てますけどここどこかわかります?
ていうかあなた誰なんですか?」
夢中で逃げていたらいつのまにか涼しい顔で俺の隣を並走していたおっさん。ムキになって振り切ろうと頑張ったが、結局ここまでぴったりついてきた。
まあムキになったおかげで、少しだけ足が早くなったような気がしないでもない。
しかし冷静に考えてキショすぎる。それに外見もキショい。
花柄のタンクトップに、ビビットピンクのショートタイツを履いて、金縁の眼鏡をかけたてっぺんハゲのおっさん。両手で俺の背丈くらい大きな木工用ボンドを抱えている。
何をしていたらそんな格好になるのか。木工用ボンドさえなければ、変な格好でランニングしているおっさんということになるのだろうが、なぜそんな大きな木工用ボンドを持っているのだ。
おっさんはゆっくりと俺の方を向く。
そして、ヒマワリも土に潜るくらいのとびきりの笑顔で、親指を立てて言った。
「壁紙芳賀四郎。63歳」
やけに渋い声で、おっさんは人物名のような何かと、年齢を口にする。
「か…かべがみ…はがし…???」
おれが頭の上にはてなマークを浮かべていると、おっさんはニコニコしながらゆっくりとそらんじた。
「か・べ・が・み・は・が・し・ろ・う」
「ブフォwwwwwwwww」
こらえられず俺は吹き出した。おっさんはひまわりのような笑顔を1ミリも崩さず黙って俺を見ている。
「それで?ここどこか知ってます?かべがみさんwww」
ツボにハマったままおっさんに質問を続ける。
しかし、おっさんは何も答えない。
答えない代わりに、表情だけが変化していく。
先ほどまでの素晴らしすぎる笑顔とは一変し、地獄の閻魔大王様でさえ逃げ出しそうな形相で俺を睨むおっさん。
俺は咄嗟に、『これはヤバい』と思った。
逃げなければ殺される。逃げたところで、巨大な木工用ボンドを抱えて涼しい顔で走るおっさんだから、どうせ追いつかれる。
おじさんは木工用ボンドを振り上げた。
完全に死んだ。俺の人生、キショいおっさんにボンドで潰されて終わるんだ
こんな時に、あの頃見たプリキュアのようなヒーローが助けに来たらいいのに。
そんなこと、起こるわけねーよな…
担当:るかナン@顔面崩壊
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廣岡唯 - 荒れてるぜ参加する俺もいいすか (4月27日 19時) (レス) @page2 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
てふまる - あ、そうじゃんパス変わってたんじゃん。どこで観れるとか(暗号とか)あります? (7月5日 18時) (レス) @page12 id: b4debf7911 (このIDを非表示/違反報告)
てふまる - あら?入れない?コピペしたのに(泣 (7月5日 10時) (レス) id: 24303a5e77 (このIDを非表示/違反報告)
てふまる(プロフ) - ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (7月4日 14時) (レス) id: e2ed21c945 (このIDを非表示/違反報告)
円陣はずれ - てふまるさん» 良いと思いますよ! (7月3日 20時) (レス) id: 9977358533 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:敗北さんでぃ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Sandy-hp/
作成日時:2022年12月19日 15時