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朝と君と待雪の花 17 ページ47

「あなたは……」

少女の問いには答えず、青年は穏やかに微笑んだままだ。

「君は、今のところ成長している。人の子どものように。このまま時間とともに、大人になるのかもしれない」
「おとな……」

思い出すのは「私」のこと。夜の国と共に消えたもう1人の自分。いまもーーーー苦しんでいるかもしれかい。

「たったひとつの願いを叶える力を、君は秘めている。誰のため、なんのためにーーーーそれをよく、考えて使いなさい」

神聖な後ろ姿に、Aはそっと縋る。

「……ねぇ」
「ん?」
「叶えて欲しい願いが、あるんじゃないの?」
「……無いわけじゃない。でももういいんだ。僕は希望を得た。たくさん、たくさん。君もそのひとつだよ」

大きな手のひらが頭を撫でる。

「……君の叶えたい願いが見つかりますように」

(わたしの、叶えたい、願い)

恋しい人の去った部屋を眺める。切れた唇は熱を宿し、切ない痛みをいつまでも訴えた。そっと撫でて、瞳を閉じる。

暗闇の向こう、朝の光に咲く白い花が揺れる。

恋しさと、いとしさ。それよりもなお輝き、ひかれてやまない花。

「わたしは、あなたの」

あなたの、そして誰かの希望に。生きる理由に、なりたい。

この鼓動がその手で今すぐにとまってしまえばいいと思うのと同じくらい、少しでも長く続けいて欲しいとも思う。

(生きたい)

あなたと、いきたい。せめておとなになるまで。

(生きる、ためには)

わたしは、何をすれば良いのだろう。どうあれば、良いのだろう。

(わたしも、探してみよう)

きっとすぐには見つからない答えを探すため、少女は立ち上がる。



ーーーー花は柔らかな光の中、ただ静かにそのときを待っている。





(第2部 完) 2018.01.08

あとがき→←朝と君と待雪の花 16



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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時

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