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アメイジング・グレイス【3】 ページ41

マスターたる少女は胸にぐっと迫る熱さを飲み込んで、指示を出す。

「オルタ! セイバー! 道を拓いて!! 私達はクー・フーリンのオルタを探索しよう!」
「わかりました。早く帰って美味しいごはんにしましょう」
「私は唐揚げが食べたい」
「同感だ。ああ、あとサバの味噌煮」

軽口を叩きながらも青の騎士王と黒の騎士王は戦況を見極める。宝具で敵を一掃して後、マスターと自分たちが走り抜けるだけの強度が、残念ながらもうこの土地にない。

「私が活路を。オルタ、マスターを頼んだ」
「美味しいところは言われずとも貰う。早くしろ」

セイバーの髪を留めるリボンが解けた。同時に、清冽な風の奔流が巻き起こる。

「やぁあああああーーー!!!」

闇を穿つ風の中へ、オルタはマスターを抱えて飛び込んだ。セイバーがいた場所へ、霊体たちが集まる様が少女にははっきりと見える。

「オルタ!! セイバーが!!」
「捨て置け!!」

言うや否やそれまで3人がいた場所が崩れはじまる。

「始まった!! 崩壊だ、マスター。帰還しろ、この世界はもたない!」
「そんな!!」

マスターは悲鳴をあげる。

「オルタは!? 世界が消えたら、オルタは!」
「たかがサーヴァント一騎で死にたいのか!」
「嫌だよ!! そんな、諦められるわけ!」

二人を守り運んだ風が、途切れた。セイバーが消失したのだ。
聞き分けのないマスターを抱えるオルタの状況は絶望的だがーーーーハッと顔を上げる。

「ち、最後は結局こうなるか。マスター、舌を噛むなよ」
「え、う、わあああーーー!!」

ぶんっと、砲丸投げかなにかのように、オルタはマスターの身体を空へ放り投げる。離れてすぐ、崩壊がオルタを包んだ。

「オルタ!!」

伸ばす手を、力強い腕が留める。

「今は諦めな」
「師匠!!」

マスターを空中で抱きとめたのは、はぐれていたキャスターだった。魔方陣で自身の時間と外界の時間を遮断している。

「二人も戦力を欠いたか。こりゃあ厳しい闘いだな」

途方に暮れるマスターを抱いて、キャスターは判断に迷う。残すはアーチャーと、自分のみ。アーチャーの安否は不明、オルタの探索もままならないままマスターはここへ来たと思われる。

「······マスター」

撤退しようと進言しようとした矢先、気配を感じてキャスターは杖を構える。反対の腕でマスターを胸に押さえつけるように抱いたままに問うた。

「貴様、何者」

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設定タグ:FGO , Fate , クー・フーリン(オルタ)   
作品ジャンル:ファンタジー
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皐摩(プロフ) - もう…!!好き過ぎる…!最高すぎる作品ですうううう!!!! (2019年2月28日 3時) (レス) id: 8434b91720 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 火星さん» 感想とお祝いありがとうございます!このままBADエンドでもいいんじゃないかと途中で悪魔が囁いてきましたが、たぶん狂王の宝具で木っ端微塵にされたんだと思います(笑)続編の方も頑張ります、応援ありがとうございます! (2017年12月28日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
火星 - 完結おめでとうございます。途中から主人公が消失するのかと思ってヒヤヒヤしていましたが、最後は狂王と主人公がちゃんと幸せそうでよかったです。続編でも頑張ってください、応援しています! (2017年12月27日 10時) (レス) id: 9638a5e671 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 川瀬さん» ありがとうございます!実は川瀬さんの作品、私も陰ながらこっそり読ませていただいています。今は無き理想郷のランスロットと主人公ちゃんのやり取りが微笑ましくて何回も見てます。続編では幼女とイチャイチャ()を考えていますのでよければよろしくお願いします! (2017年12月13日 23時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 鏡花・オルタさん» ありがとうございます!コンセプトが最後は絶対ハッピーエンド!(漠然)だったので、この結末に落ち着けたことに自分でもホッとしています。続編では優しいオルタと優しい世界を目指します。またよければよろしくお願いします! (2017年12月13日 22時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年10月21日 3時

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