もろびとこぞりて【7】 ページ34
カルデアの長い長い回廊を全速力で駆け抜けて、少女はその場所へ飛び込んだ。
｢ごめん！ 遅れた！｣
開けた空間にはーーーー準備を整えたサーヴァント達がレイシフトを待っていた。
筆頭であるキャスターは、ルーンが刻まれた杖の先端でマスターの頭を軽く小突く。
｢遅ぇよアホ弟子｣
｢あだっ｣
警告音の中でも、お馴染みのやりとりが交わされるとサーヴァント達も過度な緊張が解けて笑顔を浮かべる。
｢はいはい、説明入るよ｣
ダ・ヴィンチがパンパンと手を叩き、全員の視線が1点を向いた。そこには、未だ表情に緊張を色濃く残すロマニがいる。
｢突然の呼び出しで申し訳ない。今回、新しい特異点の発生が認められた。聖杯の反応もある。ただ｣
ロマニは憂うように目を伏せた。
｢特異点も聖杯も、反応に波がある。とても不安定だ。変な言い方だけれど、聖杯の力が弱いんだ。だから｣
｢行ったっきりになるかもしれない｣
段々と小さな声になっていくロマニの説明を継いだのはダ・ヴィンチだ。キャスターが腕を組んで結論を口にする。
｢帰れるかどうかの保証はねぇ、ってか｣
｢その通り。今回の聖杯は今までのものと別物と考えた方がいい。そのくらい反応が違う。あやしさ満点さ。自然消滅してくれたらそれが一番なんだけど｣
｢聖杯の自然消滅ぅ？ んなもん聞いたことねぇぞ｣
｢ま、そういう訳だ。回収するにせよ破壊するにせよ、人の力がいる｣
少女は全てを聞いて、疑問が確信に変わった。
｢ダ・ヴィンチちゃん。もしかしたらなんだけど、オルタがそこにいるかもしれない｣
｢あんたね、人の話聞いてたかい？｣
｢私その聖杯と会ったかもしれないの｣
ダ・ヴィンチが眉を吊り上げた。
｢聖杯と会う？ どういう意味だいそれは······その言い振りだとまるで聖杯が人の形を取ってるようじゃないか｣
｢そうだよ。聖杯は女の子だった｣
｢······先輩。キャスターさんの術の中でのこと、思い出したんですか｣
マシュの問いに、少女は頷く。あの暗闇がどこなのか、検討がついたのだ。
あそこはきっと根源の渦ーーーー魔術師が目指す場所。
途方もない暗闇だった。あんなところにいるのだ、普通の人じゃない。
何より彼女はオルタの場所を知っていた、それが一番の証拠だ。オルタはきっと傍らにいる。令呪はまだ、痛みを宿して教えてくれる。
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皐摩(プロフ) - もう…！！好き過ぎる…！最高すぎる作品ですうううう！！！！ (2019年2月28日 3時) (
レス) id: 8434b91720 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 火星さん» 感想とお祝いありがとうございます！このままBADエンドでもいいんじゃないかと途中で悪魔が囁いてきましたが、たぶん狂王の宝具で木っ端微塵にされたんだと思います（笑）続編の方も頑張ります、応援ありがとうございます！ (2017年12月28日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
火星 - 完結おめでとうございます。途中から主人公が消失するのかと思ってヒヤヒヤしていましたが、最後は狂王と主人公がちゃんと幸せそうでよかったです。続編でも頑張ってください、応援しています! (2017年12月27日 10時) (レス) id: 9638a5e671 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 川瀬さん» ありがとうございます！実は川瀬さんの作品、私も陰ながらこっそり読ませていただいています。今は無き理想郷のランスロットと主人公ちゃんのやり取りが微笑ましくて何回も見てます。続編では幼女とイチャイチャ()を考えていますのでよければよろしくお願いします！ (2017年12月13日 23時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 鏡花・オルタさん» ありがとうございます！コンセプトが最後は絶対ハッピーエンド！(漠然)だったので、この結末に落ち着けたことに自分でもホッとしています。続編では優しいオルタと優しい世界を目指します。またよければよろしくお願いします！ (2017年12月13日 22時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sandoriyon0000 | 作成日時：2017年10月21日 3時
