第９話 閑話休題 ページ9
「へぇ、じゃあ少年は源の人間なんだ。」
「おう！」
「それにしては弱くない？」
「うっ‥‥‥！」
私の言葉が思ったより刺さったのか、源の少年は落ち込んだ。
いやー、だって源の人間って揃いも揃って人間やめてるレベルが多いし。
魂取りにいっただけなのに殺されかけたことあるからさ‥‥
最近では根性叩き直させようと、わざと上が向かわせてるとも聞くけど。
「ま、気楽に頑張りなよー。
私は監視しとくけど。」
「なんでだよ！」
「それが仕事なんだよ。」
私は間髪いれずに少年に返す。
「あ、ねぇねぇ。」
八尋さんが何かを思い出したのか、私の背中をつつく。
「ん？」
「Aちゃんって、生徒会に入ってるよね。」
「うん。同学年じゃないブラックリストがいたからね。」
「源先輩って、普段どんな様子なの！？」
え‥‥‥‥どんな？
蒼井くん(副会長)との事や、怖い顔で静かに攻撃しようとしてくることくらいしか、私には思い付かないなぁ‥‥
「仕事を早く終わらせるからなぁ‥‥
皆には優しいよ。」
八尋は満足げに顔を緩めると、少年を引き連れて少し先を歩きだす。
「皆には？」
花子さんがそう言って横にくる。
「そう、皆には。
死神の私に、源の人間は情けをかけないわ。
‥‥あ、少年はなんか分からないけど別ね。」
「消えそう？」
「それはないわね。
あの源の人間がいくら強くたって、私を消すことは無理よ。」
私がただの死神だったら別なんだけどね、と私は心の中で付け足した。
「さぁ、がんばりますか。」
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作者名：千寿こい | 作成日時：2020年1月26日 21時
