【実.況.者】世界一愛してる【Fj】 (ページ5)

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フジは目覚めたその瞬間に、そこに居た。

眠り続けていたせいで上手く開かない瞳に、必死に彼を写した。

私の名前を何度も叫び、
ガラス細工に触れるように頬に触れ、
抱き締められた。

フジの涙が、ずっと私の皮膚を濡らした。

彼は、毎日放課後に見舞いに来てくれた。
部活に行きたいだろうに、

でも私は、
ひとりが怖くて
『こなくていいよ』
って、言ってあげられなかった

だから、ごめんね、と言ったら
彼は怒ったような、拗ねたような顔で、

「俺が来たくて来てるの。
彼女の為にお見舞いくらい来させてよね」

と言った。

それに、スケッチはここでも出来るから
そう言って時々フジは絵を描いていた。

フジが絵を描いている間、
私はその整った顔をじっと見つめていた。

私が死ぬって知ってる？
と聞いてみたら、

彼は、また泣きながら、微笑んだ。

「独りに、させないから」