Aglaia【大谷翔平】 (ページ10)

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アクシデントページ10

※高校時代の話です

大谷side

「いけー！Aー！」

「Aー！！かっせーかっせー！」

多くの声援が飛び交う中打席に立つA。

今は練習試合の9回裏

1点ビハインドで2アウトランナー2、3塁という一打逆転の大チャンス

俺も塁上からAに叫ぶ。

「A！！リラックスしろ！大丈夫だから！」

俺の声に気付いたAは俺を見て小さく頷いた。

相手ピッチャーは3回から代わってないから、球数もありかなり疲れている様子。

ボールストライクがはっきりわかるくらい。

Aも甘い球を逃すまいと真剣な表情でピッチャーを見据え、明らかなボールを見極めていく。

そしてバッティングカウントで迎えた５球目だった。

「っ、！！」

「＿＿＿…っ！Aっ！！」

その球がAの頭に直撃した

当たった瞬間その場で倒れるA。

そんなAの様子と、血の気が引いている相手ピッチャー顔が、事の深刻さを物語る。

審判からプレー中断の合図がかかり、

俺は誰よりも早く塁を離れてAの元へ駆け寄った。

倒れ込むAの頭を膝の上に置いて抱きかかえる。

「Aっ…」

Aは痛がる様子はなく、ただ朦朧とした様子だった。

目もなんとか開けているような状態。

出血もしていた。

Aがこんな状態にも関わらず、何も出来ない自分に苛立ちが募る。

俺はAの小さな手を握りしめて

「大丈夫、大丈夫っ…」

Aに言うように、自分に暗示かけるように

ただただ同じ言葉を繰り返した。

するとギュッとぎりぎり感じ取れるほどの力で

Aが俺の手を握り返した。

「Aっ、！」

「…大丈夫、大丈夫…だから

＿＿＿…もう、泣かないで、」

この時初めて気付いた

自分が無意識に涙を流していたことを

やがて担架が来て、Aはそのまま運ばれていった。

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