27 ページ28
.
それだけ告げて私は逃げるように走り出した。
『…』
嫉妬とか、そんなんじゃないし、と言い聞かせ何とも複雑な気分のまま廊下を歩く。
部活以外に彼と接点はない、偶に部活の連絡で1年生のクラスに行くこともあるがそれもただの業務連絡として部活のことについて話すだけで、今思えば部活以外で会わないし話さないかもしれない。
部活の時も何だかんだ言って話しかけてくるのはいつも彼からな気がした。
『…らしくないなあ』
地区予選の日から彼のことを考えるのが多くなった、それは私が彼を意識してるからで。
「宮野?」
『!』
「越前のとこ行ってたんじゃねーのかよ」
『いや、忙しそうだったから、声かけようと思ったけど』
「そうなのか?じゃあ教室戻ろーぜ」
桃は私を追いかけてきたのだろうか、それとも偶然なのか、ただひとりでこうやって考えていても仕方が無いとは思う。
桃に会えたのは丁度よかったのかもしれない。
桃のちょっと後ろを歩いて、「提出物手伝ってくれ!頼む!」
『もー自分でやりなよ!』なんて他愛もない話をしながら教室へ戻った。
「…ここでは三角形の合同条件を示して、そこから…」
午後の授業が開始する、苦手な数学であるせいか、頭の中でさっきの光景がよぎるせいか、一向に授業に集中できずただ窓の外を見つめていた。
グラウンドではどのクラスか、体育の授業をしているのが見える、体操着で1年とわかってしまった上無意識に彼を探してしまう。
『(あ)』
見慣れた黒髪、周りよりすこし背が低く、怠そうにしている彼を見つけた。
その横にはあのさっきの三つ編みの女の子もいるのが見える。
同じ1年生っていいなあ、と改めて思う、話す機会も多ければクラスは違えど合同授業だってある。
『はー、さいあく、』
ポロっと出てしまったその言葉、勿論それは授業の内容、先生に対して言っているのではないが、
「なにが最悪なんだ宮野?」
バッチリ本人に聞こえていて、自身の授業が最悪だと、そう解釈されてしまったみたい。
「後で職員室な」
『…はい』
授業が終われば「なんで授業中にあんなこと言ったんだよ」と桃は面白そうに聞いていた。
『違うって、他に考え事しててポロッと出ちゃったの』
「ほーーーん」
聞いてきたくせに彼は興味が無さそうで、私は重い足取りで放課後職員室へ向かうことになった。
.
209人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふれあ(プロフ) - 越前くん好きなので嬉しいです〜!更新楽しみに待ってます! (4月6日 6時) (レス) id: eb7563639c (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - リョーマくんから夢主ちゃんへアタックってそんな多くないから、読んでてキュンでした。更新待ってます! (2月16日 19時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - リョーマくん可愛い、、更新楽しみにしてみます! (10月8日 20時) (レス) @page18 id: ae101f810d (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 後輩リョーマくん好きなので今回の話もすごく読んでいて幸せでした〜!更新ありがとうございます! (9月17日 14時) (レス) @page12 id: b9ed5c1b3d (このIDを非表示/違反報告)
MOMO(プロフ) - とても面白くて…切なくて…リョーマ君の良い所全部注ぎ込まれてるみたいにめっちゃリョーマ君を感じました!キャラ掴めてて尊敬です!良ければ続編も期待しています!! (7月11日 23時) (レス) @page47 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つっきー | 作成日時:2023年4月7日 15時