22 ページ23
.
『…』
大袈裟に言うと脳の処理が追いつかなかった、当の本人は帽子を深くかぶり込んで表情がよく見えない。
正直気づいていない訳ではなかった、私はそこまで鈍感じゃないし。
ただ「後輩」というのが私の中で強くて越前くんをそういう目で見てしまうことを心のどこかで拒否していたのかも、
「…あの無反応ってなかなかキツいんスけど」
まだ少し耳が赤い越前くんがこちらを向く。
『え?』
「先輩は俺のことどう思ってんの」
『えっと、え?えっと』
「…ふ、パニクりすぎ」
彼はいつもみたく私にそう言った。
「俺けっこうがんばってたつもりなんスけどね、先輩へのアピール」
『ア、アピール…アピールか、アピールね…』
「復唱することじゃないんだけどそれ」
越前くんのことははっきり言えば好き、でもそれは「後輩」として。
彼を傷つけないよう必死に言葉を絞り出して
『…えっと、越前くんは私の中では、そのごめんなさい、』
『後輩だと思ってたし、そう自分に言い聞かせてたかも、?』
「…」
テニス部のマネージャーをしてる限り、選手狙いとか良くない噂だってされることもある、でも
『でも、越前くんがわたしのことを好きでいてくれるなら』
『ちゃんと向き合いたいなって思ってるし、それに…』
「それで十分」
『え?』
「それだけ先輩の気持ち聞けたらもう十分っス」
「それに、これからは俺のこともっと意識してくれるってことでしょ?」
と彼はいつもみたいに生意気に笑う、まだ私が好きになるなんて確証もないのに。
『…越前く』
「リョーマ」
『?』
「リョーマ呼び、ダメ?」
あざといなあ、身長のせいか自然と越前くんが上目遣いしているように見える。
『…リ、リョーマくん…』
ほんと弱いなあ私も、私がそういえば彼は満足そうに「A先輩」と私の名前を呼んだ。
そこでちょうどいいタイミングでお昼放送が流れる、昼からコートが変わるため少し歩かないといけない、
彼と肩が当たりそうなぐらい近くて、ただ隣で歩いているだけなのに、その距離感ですらも私の心臓をうるさくさせた。
.
遂に地区予選決勝、相手は無名校である不動峰だがその強さは予想以上で、それにあんなことが起こるなんて思わなかった。
ダブルス2は惜しくも棄権負け、ダブルス1は
.
209人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふれあ(プロフ) - 越前くん好きなので嬉しいです〜!更新楽しみに待ってます! (4月6日 6時) (レス) id: eb7563639c (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - リョーマくんから夢主ちゃんへアタックってそんな多くないから、読んでてキュンでした。更新待ってます! (2月16日 19時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - リョーマくん可愛い、、更新楽しみにしてみます! (10月8日 20時) (レス) @page18 id: ae101f810d (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 後輩リョーマくん好きなので今回の話もすごく読んでいて幸せでした〜!更新ありがとうございます! (9月17日 14時) (レス) @page12 id: b9ed5c1b3d (このIDを非表示/違反報告)
MOMO(プロフ) - とても面白くて…切なくて…リョーマ君の良い所全部注ぎ込まれてるみたいにめっちゃリョーマ君を感じました!キャラ掴めてて尊敬です!良ければ続編も期待しています!! (7月11日 23時) (レス) @page47 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つっきー | 作成日時:2023年4月7日 15時