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「で、誰が いちばん かっこよかったの?」
『い、いちばんって…いや、えっとそれは』
「はぐらかすのはナシだから、さっき試合してたのって菊丸先輩と桃先輩と俺たちだけど」
『ちょ、越前くん』
「誰、なんスか」
どうしてそこまで気になるのか、問い詰めるような、越前くんは真剣な目をしていた。
「…桃先輩スか、スマッシュ決めてた気もするし」
越前くんは勝ったくせにちょっぴり不機嫌そうで、いつもよりも低い彼の声に言葉が詰まる。
『えっと、』
「…」
私に呆れたのか、越前くんはくるりと背を向けて帽子を深くかぶりこむ、少し可愛く思えてきた。
『なにをそんなに怒ってるんですか越前くんは』
「別に怒ってない」
『私ちゃんと越前くんの試合見てたよ』
「知ってる」
『桃たちの試合も見てたけど、』
「…」
『でも越前くんがいちばんかっこよかった』
言っちゃった、また調子乗るだろうな、「ふーん、先輩見る目あるじゃん」なんて生意気なセリフが返ってくると思ったのに、
「…」
『越前、くん?』
こちらに背を向けたまま無反応のままでどうしていいのか分からず、わたしは『どうしたの』と彼の顔を覗けば
「ちょ、見ないでよ」
なんとそこには普段からは想像できない茹でたこみたいに耳まで赤く染まった越前くんがいて、思わず『えっ』と声が出るぐらいびっくりしてしまった。
『…越前くんも照れるんだ、』
「照れてない、暑いだけ」
これはまたわかりやすい嘘、彼の負けず嫌いなところとかこうして照れ隠しするところが子供っぽくてちょっと可愛いかもしれない。
「…先輩、今俺の事子供っぽいっとか思ったでしょ」
『…』
「図星?でもその子供っぽいのををかっこいいなんて思ったの、誰だっけ」
気づけば彼はいつものポーカーフェイスに戻っていた、また彼は私に意地悪をする。
わかりやすい聞き方をされると余計に羞恥心を増してしまって
「へぇ、先輩も照れるんだ」
『…うるさい』
「照れてる先輩もかわいいじゃん」
『もう、そうやってすぐ先輩をからかわ』
「からかってるつもりないんだけど」
『…それってどういう、』
「そのまんまの意味、からかってない、先輩のこと本気だから」
言葉の意図がまるで理解できない、また私をからかってるのかと思ったけどかつてないほどの真剣な表情で
「後輩とかそんなの関係ない」
「先輩には俺だけを、俺のテニスだけを見ててほしい」
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ふれあ(プロフ) - 越前くん好きなので嬉しいです〜!更新楽しみに待ってます! (4月6日 6時) (レス) id: eb7563639c (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - リョーマくんから夢主ちゃんへアタックってそんな多くないから、読んでてキュンでした。更新待ってます! (2月16日 19時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - リョーマくん可愛い、、更新楽しみにしてみます! (10月8日 20時) (レス) @page18 id: ae101f810d (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 後輩リョーマくん好きなので今回の話もすごく読んでいて幸せでした〜!更新ありがとうございます! (9月17日 14時) (レス) @page12 id: b9ed5c1b3d (このIDを非表示/違反報告)
MOMO(プロフ) - とても面白くて…切なくて…リョーマ君の良い所全部注ぎ込まれてるみたいにめっちゃリョーマ君を感じました!キャラ掴めてて尊敬です!良ければ続編も期待しています!! (7月11日 23時) (レス) @page47 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つっきー | 作成日時:2023年4月7日 15時