【越前リョーマ】わたしが彼を好きになるまで。

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「ゲームセットウォンバイ越前7-5！」



気づけば試合は勝敗がつき、コートへ視線を移せば握手をしているふたりが見えた。



「すげぇ！本当に勝っちまいやがった！！」

「レギュラー2人倒しちゃったぜ！！」



越前くんのレギュラー入りが正式にきまったこの試合結果に歓声が一気に沸きあがる。



『…ほんとに勝っちゃった、』



試合前に言われた言葉を思い出す、越前くんはほんとに勝ってしまった。


『(…かっこよかったな、)』


って部長の試合を見ててもこういうことあるし、かっこいいなんて正レギュラーの試合を見てたらしょっちゅう思うことで、


「…野、おい宮野…！」

『…あ、もも』

「ずーっとボーッとしてたぞ、熱中症か？顔も赤ェし、」



『…いや、そんなことないと思うけど』

「ならいいけどよ、自分の体調もしっかりしろよ？」

『うん、ちょっと日陰のほう行ってくる』



桃にそう言われるぐらい顔は赤いのだろうか、顔の熱を冷ますためコートから一旦離れて木陰があるベンチに座った。


『…』


ボーッとただ一点を見つめて、さっきの越前くんの試合を思い返す。


仮入部の1年生がまさかの正レギュラー入り、異例な展開にマネージャーである私も正直実感がない。


越前くんの実力は試合を見ている限りきっと本物で、試合中は私をからかうようニヤニヤしている顔じゃなくて、本当に心の底からテニスを楽しんでいる顔だった。


『(あんな風に笑うんだ、)』



『かっこよかったな…』

「誰が？」



『誰って、さっき試合してた…』

「試合してた？」

『……………ん？』

「え？」



違和感を感じてすぐさま顔を上げるとそこには、



『…え、越前くん！？！』

「なんだ、案外元気そうじゃん」

『案外元気…？私はずっと元気だけど…』

「え、体調崩してたんじゃないんスか？」



.



遡ること宮野がコートから出ていった直後。


「越前！お前やるじゃねーか！！あの乾先輩も倒してよ！」

「あざーっス」


「お前はほんっと反応薄いよな、せっかく勝ったってのによォ…あ、そうだ越前、宮野見なかったか？」

「？先輩スか、見てないスけど」


「…そうか、あいつ顔赤かったし、体調崩してるみたいでよ、もし見かけたら声かけてやってくれ」


「…」



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『あーそういうことね、体調は大丈夫なの、わざわざありがとう』

どうやら桃はわたしが体調不良だと勘違いしているらしい。

「じゃあいいんスけど、」


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