青色の王子は黄色のお姫様2

75 -NAOTO Side- ページ25

Aのいじめ疑惑も無事なくなって平和な休日。

午前中はトレーニングをして午後はお昼は出前を取って家でのんびり。
特に何を見るわけでもないけどテレビを点けっぱなしでゴロゴロする。

すると最近人気の女性モデルさんが映る。
美人だなーって、ぼーっと見てるとスタイルの良い金髪の男性がモデルの唇を親指でなぞる。
そして、キスする寸前で見つめ合い甘いキャッチフレーズ。


『落ちない口紅、その唇から目が離せない。』

『貴方に恋をして、良いですか？』


少し低く甘い声で囁く様な声が印象的で、やたら綺麗な男女が目を引くCMだ。
一見どこにでもあるような口紅のCMだけど、俺は自宅のソファーから転げ落ちた。


直人「…はっ？」


混乱する頭でCMを思い出す。
明らかにモデルの相手役の金髪モデル…

うちの末っ子のAだった、よ、ね。

ポカンとしていると俺のスマホが鳴る。
その間もTVでは同じ口紅の別バージョンのCMが流れる。

今度は女性モデルがAに抱きつき、Aの頬に軽くキスをする。
そしてAと女性モデルがおでこをくっつけて微笑み合う。
そして女性モデルさんを抱きしめて女性モデルさんの肩越しにカメラを見つめる。


『キスしても落ちない口紅。』

『何度でもその唇に、僕は恋をする。』


強い真っ直ぐなAの少し色素の薄い目が俺を射抜くように見つめる。
ちょっ…！う、うちの末っ子…こ、こんな男の色気みたいなの…あった、っけ？！

動揺や動揺を重ねながら、未だ鳴り響く電話に禄に相手もせず電話に出た。


直人「はい…」

？？「な、直人さん…！Aが、金髪…頬っぺた、が…っ！！！」


聞こえてきたのはいつもは冷静沈着な直己の声だった。
わかる、その気分…わかる…。


直人「と、取り敢えず…お、落ち着け直己っ！俺もパニックだから今っ！」


一人暮らしの我が家に俺の動揺しまくった声だけがむなしく響き渡った。

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