青色の王子は黄色のお姫様

44 -広臣Side- ページ44

ロビーで電話を待ってると、Aからの折り返し電話が掛かってくる。
すぐさま応答すればまた気の抜けたAの声が聞こえる。


広臣「もしもーし。」

『もしもし、臣さんお待たせしましたー。』

広臣「ん、別に良いよ。で、どうだった？」

『あのその事ですが…』


一瞬でAの声が小さくなる。
あ、これは駄目なやつか…これは後輩に絆されたな。


『あの、臣さんすいません。
　今日はジェネさんと交流会で、できれば自分達だけご飯食べたくて…
　だから、今日は…ごめんなさいっ！』

広臣「そっか…Aとご飯行きたかったんだけどな。」


あえて、わざとらしく寂しそうな声を出せば電話口で「おふ…」と変な声が聞こえる。
…もうちょっと可愛い声出ないもんかね。


『こ、今度！今度2人で一緒にご飯行きましょう？』

広臣「…飯だけ？」

『え、えーっと…臣さん、あの、買い物！と…散歩付き！』

広臣「ふっ、散歩って何だよ。…はぁ、わかった。今日は諦めるわ。」

『すいません。』

広臣「良いよ。飯と買い物と散歩楽しみにしてる。」

『あ、それは行くんっすね。』

広臣「行かないとは言わせねーぞ。」

『ｱｯ、ﾊｲｯ。』

広臣「んじゃ…まぁ、あれだ。今日は日付変わる前には家帰れよ。」

『うっす。』

広臣「あとちゃんと、家帰ったらLINEしろよ。」

『あい。ちゃんとLINEしまっす。』

広臣「んじゃ…お疲れ、気をつけてな。」

『うっす。臣さんも気を付けて家帰って下さいね！』


あ、臣さんも家着いたらちゃんとLINE下さいね！って言って電話が切れる。
一人ポツン、と残されたロビーで電話が切れたスマホを眺める。

なんで最後は女の子のAの方が俺の心配してんだろうな。


広臣「…心配なのはお前だっの…ばーかA。」


マジでお持ち帰りとかされたら俺許さねぇから。

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