青色の王子は黄色のお姫様

18 -玲於Side- ページ18

『じゃー、これで正当防衛って事で。』

「きゃあ！何よ、離して離してっ！！邪魔しないでぇ！！」


叫ぶ女は無視して、ごめんねーなんて言いながら女の腕を捻り上げた後
当たり前の様に女を地に突っ伏せにしてそのまま自分の服の上着を脱いで腕を縛る。
ついでに煩かったのか眉を顰めてハンカチで口元も縛る。

そんでふー、って溜息一つ。

あまりの鮮やかさにポカン、と開いた口が塞がらない。

だって完全に…手慣れてる。
え、終わった…んだよ、な。


『お兄さん、大丈夫っすか？』

玲於「…俺は、大丈夫…」

『そりゃ良かった。いやーやっかいなお姉さんに好かれちゃいましたね。』


まぁ、無事で何より。
ってケラケラ笑ってまた、俺の頭を撫でる。

でも、撫でてない方の手をチラッ、と見れば痛々しく血が流れ続けてる。


玲於「手…」

『ん？あぁーまぁ大丈夫っす！ちょっと切れちゃっただけですから。痛くないです。』


ぱっ、と俺に見えないように手を隠して笑うその人。

助けて貰ってなんだけど…こいつ馬鹿だ。

絶対痛いに決まってるじゃん。
だってあんなに血出てる。

どんどん落ち着いてきた俺は鞄の中を軽く探る。
ハンカチなんて持ち歩いてなくて使ってないタオルを見つけた。


玲於「これ…」

『あ、大丈夫です！折角のタオル汚れちゃうんで。』

玲於「…良い、使って。使ってないし綺麗だから…見てる俺が痛い。」

『あー…じゃあ、お借りします。』


渋々、俺からタオルを受け取って手の平を軽く拭く。
チラっ、と見た傷は結構深く切れている。
カッター…握ったんだろうなぁ。


玲於「あの…」

『はい。何っすか？』

玲於「助けてくれて…ありがとう…」

『あぁ、別に良いですよー。道聞こうと思っただけですし。』


へにゃり、って何もなかったみたいに笑うその人。
道聞くって…多分嘘だろ、それ。


玲於「ほんと…ありがと。」

『えっと…やだな、なんか改めて言われると照れますって。』


赤い顔を隠す見たいに、手にタオルを巻くその人が可愛く見えた。
…あれ、でも…

この人って…

唯一光る街灯に照らされた顔をじっ、と見る。

男…いや、女？
どっちだよ…！

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