【実況】異形の彼等と私と【複数実況者】 (ページ1)

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『ねぇねぇ。お兄ちゃんアレはなーに？』

「…んー、なんかいるか？」

『えー、いるよー。あそこに！まっくろくろすけー！』

「…気のせいだ。はやくいくべ。」

幼い頃から何度も何度もした話。
まっくろくろすけは私にしか見えていないようだ。

『ねぇねぇ。ぴーすけちゃん！あのまっくろくろすけみえる？』

「まっくろくろすけって…あのジブ○の？」

『うん！そーだよ！ほら、きょうしつのへやのすみっこ！！』

「うーん、みえないなー。」

仲の良い友人に聞いても一緒だった。
まっくろくろすけは私にしか見えない。

『お兄ちゃん。本当にあの黒いの見えない？』

「……うん、見えねぇ。」

『そう言う割には目線が黒いのに行ってる気がするんだけど…。』

「……気のせいだろ。」

訂正。
物心付いて理解した。

兄にもまっくろくろすけが見えている。

『ねぇ、お兄ちゃん…アレは何？』

「…Aがちゃんと見えるようになったら教えてやる。」

くしゃりと優しく頭を撫でる兄。
兄にはまっくろくろすけに見えてるのに、何で教えてくれないの？
わからない。

『ねぇ、わたしはいつになったらちゃんと見えるの？』

「お前が【--】を見つけたら見えるから安心しろ。」

【--】

何のことだか思い出せない。
なんて言ってたかな…？思考を巡らしても思い出せない。

なんて言ってたっけ？
家を飛び出した兄は。

---ピピピッ…ピピピッ…---

部屋に響く目覚ましの音で目が覚める。
今日も朝がはじまる。

「…お兄ちゃん…何て言ってたっけ？」

私の独り言は一人暮らしの部屋に消えていった。