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薄暗い階段を降りていくと、なんとも地味な空間にツキは、辺りを見渡しながら廊下を進んで行った。
『....失礼しまーす。』
その部屋の中には、ダークグレーや黒、灰色などツキのような明るい色はひとつもない地味な人達と山ほどに積まれた紙の山で埋めつくしていた。
『....うわぁ。』
「ユ ツキさんですか?」
『あ、はい。』
ツキが振り返るとそこには、面接の時に居た若い男性だった。
若い男性はツキにゆっくりと近付くと、聞き心地の良い声でこう言った。
JN「2度目まして、僕の名前はキム ソクジン、ようこそ。校閲部へ。」
『校閲....?』
ソクジンは開いていた扉を閉めると、”校閲部”と書かれた表札を指差した。
『ちょっと待ってください。校閲ってなんですか?』
JN「校閲は、印刷される前の原稿に誤字脱字がないか、加えて矛盾や間違いがないかなどのチェックをする仕事さ。」
『そういう事聞いているんじゃありません。私、面接の時ファッション誌の編集者になりたいって言いましたよね?なのに、どうして校閲なんですか?』
ツキがそう詰め寄るとソクジンは落ち着いた表情でこう言った。
JN「ファッション誌の編集部は例年通り、採用なし!だから、君も当然不採用だった。だけど、僕が我が”校閲部”に君を欲しいと申し出たんだよ。」
その言葉を聞いたツキは泣きそうな表情をしながらこう言った。
『....どうしてですか?』
JN「君以上に、この校閲部に似合う人は居ないからさ!」
『だから、どうして!』
「だって君、行動力が凄まじいじゃないか!」
『は?』
「同じ出版社を7回もバカ正直に受けられるその度胸に、僕は感動したんだ!そして、そのはっきりとした物言い!君が居れば、あの嫌味ったらしいboy編集部にも勝てるはず!」
『なんですかそれ!バカにしてるんですか!?』
「馬鹿になんかしてませんよ....7回....ヒャッハッハ!」
『バカにしてるじゃないですか!!』
どんどんヒートアップしていくツキにソクジンは手を叩き、こう言った。
JN「まぁ、冗談はさておき。仕事の出来具合によれば、貴方が望むButter編集部に異動できる可能性も....。」
『!それ、本当ですか!?』
JN「未来へ続く扉は1つではないのさ。」
『....。』
JN「まずは、ここでやってみない?」
『....。』
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kaguya(プロフ) - nanaさん» 少し参考にさせていただいてます! (4月3日 17時) (レス) id: 680b1279bc (このIDを非表示/違反報告)
nana - あれ…主人公が石原さとみに見えてくるなぁ🤔 (3月25日 22時) (レス) @page26 id: 93fd17df6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaguya | 作成日時:2024年3月15日 20時