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ーーコンコン
『失礼します!』
「どうぞ。」
面接官の中でも一際若い男性が扉に向かってそう言うと、ニコニコとした女性が自信満々に入室してきた。
『ユ ツキです!本日はよろしくお願いします!』
「また君か。」
『はい、お久しぶりです!』
「また来たのかい?」
『はい、また来ました!』
若い男性はほかの面接官の慣れた様子に困惑した表情を浮かべながら、ツキに座るように促した。
「では、おかけください。」
『はい、失礼します!』
ツキが座ると、面接官の1人がこう質問した。
「えー、今回で何回目でしょうか....?」
『えーっと、新卒から数えると7回目です!』
ツキの答えを疑問に思ったのか若い男性がこう質問した。
「7回....?うち以外の出版社は受けていないのですか?」
『勿論です。』
「それはどうして?」
『受かったら困るからです。』
「....え?」
ツキのこの回答に他の面接官も困ったような表情をし始めた。
『私は、御社の編集者になること以外考えておりません。私は御社が発行するファッション誌を長年に渡り愛読、いや愛してきました。』
『LOVEteen、Butter、BT、oneday、eight、中でもButterは田舎の高校生だった私に大きな夢と希望を与えてくれました!』
『2013年巻頭ジャケット企画、乙女ジャケットとお嬢様ジャケットはアイテム、配色、レイアウト、コピーまで全て完璧で、一寸の隙もない素晴らしいものでした!』
『2014年のカリスマファッションエディターの1ヶ月着回しコーデ!この企画を見た時、初めて恋をしたようなトキメキと感動を覚えました!』
一気に捲したてるような速さで喋るツキは一息置いた後、面接官全員を見渡してこう言った。
『そこで私は確信したんです。私が生きる世界はここじゃない、Butterの中で華やかで、煌びやかな世界なんだと確信したんです!』
ツキがそう締めくくると面接官の1人が呆れたような表情でこう言った。
「はい、分かった分かった。君のファッションへの熱い想いはよく分かりました。だけどね、今回も募集要項に書いてあるとおり、ファッション誌編集部の募集はしてないんだよ。」
『分かってます....でも、それは間違いです。』
「は?」
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kaguya(プロフ) - nanaさん» 少し参考にさせていただいてます! (4月3日 17時) (レス) id: 680b1279bc (このIDを非表示/違反報告)
nana - あれ…主人公が石原さとみに見えてくるなぁ🤔 (3月25日 22時) (レス) @page26 id: 93fd17df6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaguya | 作成日時:2024年3月15日 20時