反転術式は脳で 3 ページ30
一気に傷が治る。が、喉に詰まった血液で結局窒息状態だった。
『ご、ゲホ』
鈍い咳をするAを宿儺が顔を上げさせてまた唇を合わせる。
じゅ、と血を吸ってペッと吐き出した。それからは一気に咳き込んで、なんとか気道確保ができた。
倒れたままのAを背に宿儺はにぃと笑みを深める。
「待たせたな。次は貴様だ」
斬撃が飛んだと思えばそれで終いだった。既に建物が崩壊しているが地盤が悪いらしくガタガタ床が落ちるところを宿儺がAと伏黒を抱えてその場を離れる。
伏黒にも反転術式を施す。
ばっと距離を取ると、笑われた。
「いい反応だ」
「何のつもりだ」
伏黒は身を低く構え、警戒している。冷や汗がこめかみを伝う。
「なに。ただの人助けだ」
「はっ。似合わねぇな」
Aが宿儺の後ろにいる。どうすればいいのだろう。
宿儺は伏黒がAを気にしているのをわかってAの腹に跨る。子供の姿なので重さはそこまででもない。
「A。おい、起きろ」
むにむにと頬を引っ張ると伸びてAはしわを寄せた。
「んん〜」
「ふはっ、アホ面」
「ん〜」
嫌っそうな声とその顔に伏黒は思わず笑ってしまったが。
知らぬ間に散々宿儺に苛められてようやく起きた。
『あ、あ〜』
喉を貫かれた記憶があるので声を出してみるが問題なかった。
『ありがと〜。で、どいて?』
ニコニコ顔で全然動かない。
上体を起こすとだいぶ顔が近づいて、あ、と気づいた。
『なんか、ちっちゃい!』
ぷにぷにのほっぺとか、短い手足とか笑えたのだ。
『ええ〜、何これ、かわいい〜』
小さな手を握ってぎゅうぎゅうしてみる。
意外にも振り払ったりしないらしい。ぎゅうっと抱きしめてそれから宿儺の肩越しに伏黒が見える。
伏黒はもうどうしていいかわからないので静観していたのだ。
『あ、ふしぐろ』
「お前なぁ」
呆れた声だったが。
「どうする?」
『どうしようねー。宿儺、どうやったら消えるの?』
「この姿はお前の呪力を媒介にして顕現している。簡単に言えば呪力をもらった状態だな。だからもらった分を消費すれば勝手に消える」
『じゃあまだなんだ』
「ああ」
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Pistachio(プロフ) - みずきさん» そうですよね!同じ意見の方がいて嬉しいです!これからも楽しんでいただけるようがんばります! (4月15日 20時) (レス) id: 33b4a3c3dc (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - つぶやき見ました。私も同感です!まだこれからも楽しみです! (4月14日 22時) (レス) @page33 id: d9f5409103 (このIDを非表示/違反報告)
Pistachio(プロフ) - Shiroさん» わあ!コメントありがとうございます。うちの宿儺様を気に入っていただけて嬉しい限りです!これからも少しずつ書いていきますね! (4月11日 0時) (レス) id: 33b4a3c3dc (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - いつも楽しく拝読しております、Pistachioさんの書く宿儺が大好きです!これからも応援し続けます! (4月10日 22時) (レス) id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
Pistachio(プロフ) - みずきさん» コメントありがとうございます!何時もお読みいただいて嬉しいです!2人の幸せを願って楽しみにお待ちいただける嬉しいです! (1月23日 0時) (レス) id: 7b91fca8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Pistachio | 作成日時:2022年9月26日 21時