反転術式は脳で 2 ページ29
『うわー…』
いかにもすぎて思わず声が出た感じである。
しょうがないな、行きたくないけど…。
そんな思いで伏黒を見上げた瞬間呪いの気配が濃厚になった。
そこから出てくるとかそういう規模じゃなかった。家全体を飲み込むように下から呪霊が口を開けていた。
とりあえず、伏黒を引っ掴んで上空に逃げる。
『わー、あれ、等級上がってない?』
「最近活発になったから急激に力をつけたんだろ」
とりあえず地面に降りて、戦闘開始になる。
蜘蛛に似た呪霊で、目が複数あって、気持ち悪い。
蜘蛛らしさはやっぱりあって、糸がすごく邪魔。建物とかは切れてるから、触れたらまずい。
連携だから斬撃は使わない。肉弾戦メインで、殴ろうとして腕に糸が絡まって、動きが止まった瞬間喉に呪霊の爪が刺さった。
なんで…?
キョロ、と糸が飛ばされた方を見るともう1体いる。
伏黒がそちらに手を取られながらAの方に向かおうとしている。
『、ぃ゛じ、な…(気にしないで)』
声が出ない。声帯を切られたのか、血で窒息しそうだからか。
げほげほと咳をして血を吐き出そうとしても出血の方が多くて追いつかなかった。
伏黒の腕に蜘蛛の、爪が刺さるのが、見えて。
カクン、とAの意識が落ちた。
ザワリと頬を撫ぜる空気が変わったとわかったのは伏黒だった。
ゆうるりと足元から形成されるその姿はAベースの宿儺だった。ただ背丈は子どものように小さい。
くつくつと喉の奥で笑う声が聞こえた。
「は、貴様は常に無様を晒さんとすまんらしいな。A」
窒息したAは後数分で完全に心肺停止になるだろうに、そんなことは気にせずAの頭を踏んづけた。
もちろんAはそんなこと知らないので、口の端から血を流して頭を下げている。
「ふん」
やはり、物言わぬ死体ではつまらんな。
ここでようやく宿儺は足を避けて、その顔を持ち上げた。
血に塗れた顔はぬらぬらと光っていて綺麗とは言えなかった。
「知っているか?反転術式は口同士が一番早く回る」
そう言ってAの口へ唇を合わせる。
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Pistachio(プロフ) - みずきさん» そうですよね!同じ意見の方がいて嬉しいです!これからも楽しんでいただけるようがんばります! (4月15日 20時) (レス) id: 33b4a3c3dc (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - つぶやき見ました。私も同感です!まだこれからも楽しみです! (4月14日 22時) (レス) @page33 id: d9f5409103 (このIDを非表示/違反報告)
Pistachio(プロフ) - Shiroさん» わあ!コメントありがとうございます。うちの宿儺様を気に入っていただけて嬉しい限りです!これからも少しずつ書いていきますね! (4月11日 0時) (レス) id: 33b4a3c3dc (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - いつも楽しく拝読しております、Pistachioさんの書く宿儺が大好きです!これからも応援し続けます! (4月10日 22時) (レス) id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
Pistachio(プロフ) - みずきさん» コメントありがとうございます!何時もお読みいただいて嬉しいです!2人の幸せを願って楽しみにお待ちいただける嬉しいです! (1月23日 0時) (レス) id: 7b91fca8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Pistachio | 作成日時:2022年9月26日 21時