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『やだ』って言えたら、どれほど楽だろうか。

この数ヶ月で私は知ってしまった。
誰がと過ごす楽しさを。
レイが隣にいる幸せを。




だから何も言えなかった。
静かに彼の声を聞く。





「当然、同居も終えていいと言われた。もし君が望むなら、公安の方でいくつか家も紹介できる」

『…』

「どうしたい?…って聞くのは、少し意地が悪いよな」




知っていたにせよ、実際に言われると身構えるものだ。

このまま突き放されるのだろう、と思った。



でも、彼は私の選択を聞くことはせず、優しく笑うのだ。
「だから、少し話を聞いてくれないか」、と。






「爆発で吹っ飛ばされて、遠くで銃声が聞こえて…風見達とも連絡が取れなくなって…」

『…あの夜のこと、?』

「ああ。身体をライフルの赤いポインターが這って来て…撃たれるって身構えて」

『…』

「で、走馬灯みたいに頭に映像が流れたんだ」

『…ほんとに、?』

「この状況で嘘なんてつかないよ」




ゆったりと、でも楽しそうに彼は語り始めた。
2日前の夜の話だ。




「色んな人の顔が浮かんで…あ、最後にAも出たぞ。…で、思ったんだよ、心残りだな、って」

『心残り?』

「君が、いい夜を過ごせないんじゃないか…って」

『………は?』

「だから本当は、君が上手く眠れないなら…とか何でも言って利用してやろうって思ったりもしたんだ」

『…』

「そ…そんな顔するなよ、。…まぁ、もし君か俺を選んでくれるなら、毎日の美味しいご飯でも保証するさ」

『まって、何が言いたいの、?』




それじゃあまるで…
私と住んでいたいって言っているようなものじゃないか、?



握っていた手に力を込めたレイは、私の顔を覗き込む。
まるで、私がレイを選ぶことを前提にしたような、自信満々な顔だ。





「一緒にいたい…って言ったら、どんな返事をしてくれる?」

『…え』

「まだ漠然としたイメージしかないけど…これから先、君が毎日隣でおやすみって言ってくれたらいいなとは思ってるよ」

『…』

「言い訳はいくつか言ったけど…正真正銘、俺のわがままだ」





どっ、と心臓が跳ねた。
心拍数と体温が一気に上がって、顔が熱くなるのも自覚できる。

そんな間抜けな表情で、ただ口をパクパクするだけの私に、レイは今度こそ意地悪げな顔をした。

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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️‍🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時

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