検索窓
今日:44 hit、昨日:8 hit、合計:27,979 hit

ページ42

.



起きてすぐ、なんとなくの違和感に気がついた。

寝ぼける脳で考えながら頭を掻く。






「…A?」






隣で眠っていたはずの彼女が見当たらない。

ここ最近は病室で1人きりの夜を過ごす日もあったから、すぐに気づくことが出来なかった。







俺は朝に強い方である。
かと言って彼女が弱い訳でもないが、仕事の都合もあってかいつも彼女の方が先に起きることは珍しかった。



Aが早起きするなんて…明日は雪でも降るんじゃないのか、と軽い気持ちで起き上がり、寝室を出る。







「…A?」




静まり返った室内。
俺の声につられて、ハロが足元に擦り寄る。

名前の主の返事が帰って来ることは無かった。





…寝室にだけじゃない。
どこにもいない。


置きっぱなしだった家の合鍵が消えている。
玄関に出してあった彼女のお気に入りのスニーカーも無い。




事の大きさに今更気がついたように、ハッと目が冴える。
Aが家にいない。


もしかして何か用事でもあったのか、と考える。
用事があったから彼女は早起きをしたのではないか。

…いや、彼女は実質無職だ。
それにこんな早朝からなにかの用事で家を出るなんてことはありえないに等しい。



…家を出た、と考えるのが妥当か。

それも、彼女自身の意思で。



頭が追いついていない。
彼女が家を出ていく理由すら分からないままだ。









「…」






すぐに上着をはおり、ハロを宥めてスニーカーを履く。
彼女の行方を追うつもりで、鍵を片手にドアを開けた。

そこでふと、足を止める。





…もしかして、俺になにか不満があったから家を出て行ってしまったのでは無いか。

もちろん自覚は無い。
推測に過ぎない。

それでも、その可能性を思いついてしまったら軽率に彼女のことを探しに行くのは憚られてしまう。










……いや、追わなくていいのか?

何があったにせよ、今連絡もなしに彼女が家を出ていったことが心配でならない。

いくら日本と言えど、犯罪は少なからず起こる。
巻き込まれでもしたらと思うと、正直肝が冷えた。



同居人として。
警察官として。
男として。


連絡もなしに外に飛び出した彼女を連れ戻すのは当然なのではないだろうか。
何故出ていったのかは、その後でいい。



.

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (88 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
456人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️‍🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。