case.23 ページ35
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こと、こと、と可愛らしく響くカップの音。
静かな店内に香る深いコーヒーと、目の前に置かれた空腹を擽るサンドイッチ。
「まさか貴女が来てくれるとは思いませんでしたよ」
『せっかくおすすめされたのに一度も寄らないなんて勿体ないと思ったので……ね、コナンくん?』
「あ、うん!……そうだね」
暖かいコーヒーを啜る私に、カウンターの中のバーボンはニコニコしながら探りをかけた。
隣でオレンジジュースのストローを加えたコナンくんは、少し様子を伺いながら頷く。
ここは喫茶ポアロ。
前回はバーボンと再開して慌てたせいで中に入ることなく帰った喫茶店であり、そんなバーボンのアルバイト先である。
バーボンから何か有益な情報を得られないか、とか思っているのも事実。
このコナンとか言う少年にやけに好奇心が働くのも事実。
そしてこの喫茶店で食事がしてみたかったのも事実。
全ての理由が混ざりあって、私は改めてポアロに来店してみると言う大胆な戦略に出たのだ。
決して、ただ単にこのサンドイッチを食べたいからでは無い。
「お、おねーさんはさ…どうして水無怜奈さんのことが気になるの?」
『ん?…ファンだからだよ?』
「ファンだから……か、」
前回に引き続き、私はどうやらこの少年にだいぶ警戒されているようだ。
こんな幼い少年なのに、頭からつま先まで見透かされているような気がしている。
…そして私の記憶が正しければ、今、目の前のカウンターで平然とコーヒーを注いでいるバーボンも前までは同じように疑いの目を向けられていたはずだ。
だが今回はどこか違う。
少年の注意は常に私に注がれていて、バーボンと少年はどこか通じあっているようにも感じられる。
なんだ。
一体、彼らに何があったのだろうか。
前回から少し時間が空いている。
だからその間にこのふたりが十分に仲良くなる…ってことも考えられる。
…じゃあ何故だ。
何故コナンくんは彼の知り合いである私に警戒しているのか。
…人見知りなだけで、ただの勘違いだろうか。
ピリピリと違和感が第六感を刺激している。
これじゃあせっかく美味しいコーヒーとサンドイッチも十分に堪能できない。
『…美味しい』
「僕が作ったんです」
『料理出来るなんて知らなかった』
「…最近ですよ、できるようになったのは」
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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時