自由人め ページ33
真っ暗になった外を車窓から見ながら、俺は家路を辿っていた。
時刻は深夜2時。
街も寝静まっている。
普段から使っている駐車場に愛車のRX-7をとめて、同居人と愛犬の待つ家に帰る。
窓にあかりが灯っていない。
俺が言った通り先に眠りについたのだろう。
そんな彼女らを起こさないように、鍵をそっと回して静かに家に入った。
随分と遅くなってしまった。
残業があることには慣れているが、この前の大きな怪我が完治していないせいか、Aはいつもより心配をしてくれた。
無茶をするなと部下にまで口うるさく言われることもあるが、毎度のことむず痒く思う。
「心配せずとも大丈夫だ」と伝えたい。
きっと俺はどれだけ言われても変わることなんてないし、どれだけ無茶でも目の前の問題に立ち向かうだろう。
ピシッと着た灰色スーツのジャケットを脱ぐ。
軽くなった肩を労わるように伸びをして、ネクタイを緩めた。
暗かった部屋に、電気を付ける。
「……うおっ、」
そしてそこで初めて、ダイニングの椅子に座ってテーブルに伏せる人影に気がついた。
「……A?」
テーブルに飲みかけであろう水が入ったコップがある。
きっと1度は寝たのだが目が覚めたので、水でも飲もうとか思ったに違いない。
「……で、ここでもう一度寝た……ってところかな」
近づき顔をのぞき込むと、彼女はすやすやとあどけない顔で眠っている。
自由人め。
寝るならベッドで寝なさい。
ため息とともに湧く愛おしさで、口角を緩める。
その髪を掬い撫で、起こさないようにそっと持ち上げる。
ベッドまで運ぼう。
風邪をひいてもらっちゃ困るのだ。
俺が帰ってきた気配で起きないどころか、触れても起きないくらいに爆睡しているのは、俺に心を許しているからか……。
……ただの平和ボケか。
隣の部屋のベッドまで連れて、奥に優しく寝かせる。
肩まで布団を掛けようと持ち上げると、ふと、彼女の細い指に目がいった。
「……絆創膏?」
ちょっと下手にグチャっとしながら巻かれているそれは、確かに絆創膏だ。
でもなんで……?
こいつ、怪我するようなことしたのか……?
何をしたんだろうか、と考えてみる。
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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時