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ゾ、と全身の毛が逆立つ。




もし……。

もし、バレンシアが味方……それも、noc(スパイ)だったら。
もし、俺や赤井秀一……ヒロなんかと同じ立場の人間なら。




赤井が俺に、「よろしく頼む」とわざわざ伝えたことに辻褄が合ってしまうのではないか。










彼女は【ネズミ殺し】だぞ。
あのジンの【お気に入り】だぞ。



頭の中で構築されているバレンシアのキャラクターが崩れ落ちる。





じゃあ……


だったら……




俺よりずっと若いのに、こんな真っ黒な世界で汚れた仕事をしているのは……、故意じゃないと言うのか。

夜、俺たちに隠れるようにセーフハウスを出ていき、ジンの香水とタバコの香りを見にまとって帰ってくるのだって……。






そして赤井秀一はこのことを知っていた。
知っていてなお、彼女の隣でその姿を見ていた。

……いや、見ているしか無かったとでも言おうか。





分からない。

俺には分からない。







彼女の本当(・・)が、分からない。






「……っクソ、」







食いしばった歯から失念が漏れ出た。




結局、これもただの憶測なのだ。
沖矢昴の時と同じで、確証はどこにもない。

バレンシアがnocかもしれないと考えついただけで、本当にnocで俺たちの味方だって訳では無いのだ。






もどかしい。

苦しい。

悔しい。





どうにもならない思いを拳でにぎりしめる。

……探りを入れる他ない。
彼女の正体に近づくためには彼女の近づく他ないのだ。

たとえそれが俺にとって危険なことであろうとも、不思議と辞めようだなんて考えには至らなかった。
これが正しい道だと信じているからだ。






「バレンシア……」



それは、お気に入りという酒言葉を持つカクテルの名だ。

その名の通り、組織中枢のジンのお気に入りとして組織の幹部に君臨している。







でも……そうだ。


ウイスキー3人とバレンシアの4人で一緒に暮らしていた間のことをふんわりと思い出す。

ヒロの料理に喜び、ライのタバコに怒って、俺のモーニングコールには疎ましい顔を向けながら、夜にはみんなで酒を交わす。

自分が人一倍眠りに弱く、悪夢を見ながらうなされて苦しいはずなのに、「おやすみ、いい夢を」だなんて毎度のように俺たちに挨拶をして……。








……悪い人には見えない。

初めから、俺は彼女に……嫌悪感を抱いたことなんてなかった。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

自由人め→←case.22



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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️‍🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時

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