case.21 ページ24
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夜。
マカデミー賞の受賞式が始まって少しした頃、工藤邸にはチャイムが響いていた。
俺は工藤邸に宅配便を名乗って突撃する作戦に出た。
沖矢昴は外に待機させてある公安の部下たちの存在に気が付きながらも、すんなりと応接室に通す。
メガネにマスクをつけてハイネックで、いかにも完全防備と言った様子だ。
「ミステリーはお好きですか?」
「ええ…まあ…」
廊下と部屋に仕掛けられた数台の監視カメラに注意しながら、対面のソファに座る沖矢昴に目線を動かす。
出された紅茶には手を運ばずに、頭の中でまとまっていた赤井秀一の死体すり替えトリックを口に出した。
赤井秀一が最期に顔を出したのは、来葉峠。
そこでキールに頭を撃ち抜かれ、愛車と一緒に炎に焼かれた。
キール目線で録画されていた映像には彼らが最期に交わした一言を含めてその全てが録画されていて、何ひとつとして怪しいところはなかった。
焼け残った右手の指紋が赤井の触った携帯電話に着いていたものと同じだったから、赤井秀一は死んだことになっている。
でも彼は
右手の指紋というところが俺には引っかかって仕方なかった。
答えは複雑である。
恐らくあの携帯電話に着いていた指紋自体が別の男のものだったのだ。その別の男こそ、俺が行方を追っていた楠田陸道だろう。
楠田陸道の死因は拳銃で頭を撃ったことだ、とこの前間抜けなFBIの口から聞いた。
これでピースが揃った。
あの焼死体は赤井秀一のものでは無い。楠田陸道のものなのだ。
「なるほど…なかなか興味深いミステリーですが……その撃たれたフリをした男……その後どうやってその場から立ち去ったんですか?」
「それに答える前にテレビを消してくれませんか?大事な話をしているんだから……」
「いいじゃないですか…マカデミー賞、気になるんですよ」
俺の推理に穴と抜かりはない。確信を着いているはずだ。
だが、沖矢昴は動じるどころか、余裕の笑みで切り返す。
赤井秀一は恐らく、自身を撃ったキールとグルだった。
監視をしていたジンたちの目を盗みながら、彼女の車で逃げたのだろう。
ジンのことを騙した決まり手は、撃たれた赤井の頭から噴き出した血だろう。
だが、この工藤邸のお隣は阿笠博士の研究所。
知人であるならばフェイクのニット帽を簡単に頼めるだろう。
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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、!! (5月30日 17時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です!こんなに最高なストーリーは初めてです!大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー!こちらにも!!ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します。一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cherry* | 作成日時:2023年2月4日 17時