おかえり ページ18
ガチャっとドアノブが回った。
少なめの荷物を抱えて、背の高い金髪が部屋に入る。
『あ、レイ！』
「A、……って、わ、ちょ……ハロ！」
久々の主人の帰宅に、足元でハロが飛び跳ねた。
病院にずっと居たからアルコール臭いはずだが、そんなこと気にもせずといった様子だ。
そんな期待に沿う形で、レイはハロを抱き上げた。
『もう大丈夫なの？』
「ああ、一応医者の許可は取ってるよ。…風見には反対されたがな。身体もすっかり訛ってしまったから鍛え治さないと」
『……またすぐ負荷をかける、』
レイはあれからしばらく療養し、ついに家に帰ってきた。
ほんとならもう少しゆっくりと療養して欲しいものだが、どれだけ仕事が忙しくてもトレーニングを欠かさない彼はじっとしている方が苦痛なのだろう。
もはやそんな心持ちでさえ読み取れてしまうので、強く彼を止めることはしない。
抱き上げていたハロを下ろしたレイはそのまま脱衣場の方へ行き、部屋着に着替えて出てきた。
「君こそ、肩の怪我はもう大丈夫なのか？」
『あのね、常人がこんな短期間で大丈夫になる訳ないでしょ、』
「……痛むか？」
『そんなに痛くは…ないけど』
タフなゴリラと一緒にされては困る。
少し強めに冗談を交えて否定したつもりなのだが、レイは真正面から私を心配したように眉を下げる。
……調子狂う。
あんまり慣れてないのだ、人に弱さを示すのは。
顔を背けた私とは裏腹に、レイは良かった、と息を零した。
そして次の瞬間にはその腕の中にすっぽりと包まれる形で抱きしめられる。
『…レイ？』
「……ただいま」
『……うん、おかえり』
満足したようにレイは優しい顔を見せる。
そんな彼に私はどうしたらいいのか分からなくて、目を合わせることが精一杯だ。
「……あ、もしかして俺がいない間カップ麺ばかり食べてただろ」
『……げ』
「箸以外の食器の配置が変わってないし……。なんだ、このゴミの量は」
『りょ……料理得意じゃないし、』
「言い訳にならない。……今夜は何が食べたい、？」
『レイ、作るの？』
……退院したばっかなのに、と心配してみたところ、これくらいどうってことは無い、だなんてカッコつけられる。
背中に回っていた腕が離れる。
それでも抱きしめられた体温を、私は暫く忘れられなかった。
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cherry*(プロフ) - Lalaさん» コメントありがとうございます🥲そう言っていただけて本当に嬉しいです❤️🔥亀更新ですが是非最後までお楽しみください、！！ (5月30日 17時) (
レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - 最高です！こんなに最高なストーリーは初めてです！大変でしょうが更新を待ってます。かなり楽しみです🥰 (5月30日 12時) (レス) @page38 id: a10f094dfd (このIDを非表示/違反報告)
cherry*(プロフ) - ナミさん» わーー！こちらにも！！ありがとうございます🥲すごく嬉しい🥲 (2023年4月9日 19時) (レス) id: 04cb4253df (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - コメント失礼します｡一気読みしてしまいました!作品の題名がすごくいいですね!!応援しています(^^)これからも頑張ってください!!! (2023年4月9日 13時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cherry* | 作成日時：2023年2月4日 17時
