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言えば言うほど損だと思う ページ9

パイプ椅子、長机、そしてまたパイプ椅子。

見る限りそんなものくらいしか無いような広い部屋に、今私は座っている。





ガザミの車で警察庁まで送られて、私はこの第三会議室に通された。

取調室とかじゃなくて良かったなーとは思うけど、スマホは没収されたので正直やることが無い。

1度暇だなーと思ってしまったら最後、その瞬間から暇で暇で仕方なくなってしまう。

何度も何度も椅子から立ち上がり部屋をうろちょろして、座っては足を組みかえて………………あぁ、もう!








『遅いし暇すぎる!なにやってんのよ日本警察は…』

「遅くて悪かったな」

『うわっ!?』







真後ろにピトッとくっついた影、チラリと目に映る綺麗な金髪、ふわっと香る男物の香水に耳元で鳴る声…









『お…どかさないでよ、、』

「ハハッ、悪い。まさかこんなにびっくりされるとは思わなくて」






レイは愉快そうに笑みを零して、近くの椅子を引くと私に腰掛けるように促した。


椅子を引いて先に座らせるなんて行為、彼にできるとは思っていなかったから驚いた。




…でもそんなことより







『…そんな顔、出来たんだ』

「そんな顔ってどんな顔だ」






ハハッと笑った彼の自然体な笑顔は、今まで見てきた中で1番の衝撃だったかもしれない。
あれほど貼り付けたような笑みをしていたバーボンや安室透とも、警察として部下に命令する厳しい顔とも、全く違う自然体な顔。

レイの顔が整ってるのはよく知っているのだけど、笑うとこんなにも可愛らしいのは初めて知ったかもしれない。

…それほど、組織潜入はレイにとって重く苦しい仕事だったんだろうな。









「まあいい。単刀直入に言うが、こちらの判断としては君をこのまま家へ送り返すことは出来ない」

『えぇ!?なんで…』

「犯人を捕縛したところまでは問題ない。…でも君が爆弾解体に携わってるのが問題なんだ。その指紋が爆弾に残ってしまってる」

『…はぁ?』

「言い換えれば、君が爆弾を仕掛けた犯人とも捉えられてしまうんだ。あるいは共犯とも考えられる。事実、解体ができるくらい君は爆弾の構造を知っていた」

『爆弾の構造はFBIにいた時に散々勉強したの、不自然じゃないでしょう?』

「でも君は今、ただの一般人なんだろう?」

.→←case.1



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作者名:cherry* | 作成日時:2022年8月23日 11時

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