case.1 ページ8
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
組織に潜入して半年くらい経った頃、やっとの思いでコードネームを貰った俺はようやく上層部に近づくチャンスを得た。
バーボン。
とうもろこしで作られるウイスキーの名前がコードネームだ。
今回顔を合わせる幹部は、要注意人物であるジンの【お気に入り】の部下。
これからしばらく共に任務をこなすことになるらしい。
【ネズミ殺しのバレンシア】
組織に入り込んだnocの迅速な割り出しと始末…。
かねてから噂は聞いていたが、やはりあのジンのお気に入りだからだろうか…今まで顔すらも見たことは無かった。
コードネームがカクテルの名前なので、おそらく女性なんだろうけど…。
、
そんなことを考えながら歩いていたら、顔合わせの場となる部屋に着いてしまった。
待ち合わせよりだいぶ早いけれど、躊躇なく扉を開ける。
そこに居たのは自分より少しガタイがいい位の男2人で…
「…」
「…」
「…」
1人の顔はよく知っている顔だった。
幼なじみの諸伏景光。警視庁よりこの組織へ潜入している公安警察だ。
互いに警察内で連絡は取り合っていたけど、実際にこうやって会うのは随分と久しぶりである。
ただ、組織内では「初めまして」の体でいかなければならない。
万が一知り合いだとバレたら、その関係性から洗われてこれから会うバレンシアに殺される運命だろう。
でも…そうか……。
ヒロもコードネームを貰ったのか。
もう1人は黒髪長髪の男だった。
室内で普通にタバコを吸う姿に少しイラッと来るが、今のところ深く関わる義理はない。
互いに「初めまして」の男3人は、ただ黙ったまま互いの顔を見る。
この場にいる時点で同じ黒ずくめのメンバーと言うことだ。
そして少し遅れてドタバタとやってきたのは俺より若いような女性で、彼女は俺たち3人の顔をパッと見るとニッと軽く頬を釣り上げた。
『初めまして、バレンシアよ』
ハッキリとした声もその口調もやはり組織の中枢にしては若い。
ネズミ殺しだなんて物騒なあだ名を付けられているとは到底思えないような可愛らしい顔。
いや…どれだけ可愛らしくてもバレンシアはジンの手下。
あのジンに気に入られるだけの実力を持っているはずだ。
きっと…綺麗なバラには刺がある。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
255人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:cherry* | 作成日時:2022年8月23日 11時