goodnight【降谷零】 (ページ6)

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「君、そこで何をしているんだ」

『…？』

カバンに向き合う私にかかった声は男のものだった。

トイレ入口に顔を向けると、スーツ姿にメガネの男性が目に入る。

一瞬だけ犯人の仲間か…とも考えたけど、奥で拘束されている男と私を交互に見るその反応の限り犯人の仲間とは考えにくい。

『爆弾です、下がってください。キャストさんと警察に連絡して、出来れば周辺の人の避難をお願いしていいですか？』

「奥の男は」

『ナイフで襲いかかってきたので。失神してるだけです』

｢君がやったのか｣

『それ以外になにがあるんです？』

ただ浸すら目の前の爆弾に向かう私の肩を、メガネの男性は強く引いた。

「離れなさい」

『…はぁ？』

「警察だ」

おっと。

ジャパニーズ警察かよ。

言われてみれば確かにただの通りすがりの男が女子トイレに顔を出すのもおかしいし、スーツでテーマパークに来ているのもおかしい。

うわ、生意気な口聞く前に気づくべきだった。

｢犯人発見、入場口近くの女子トイレ。犯人は身動き不可能。そしてやはり爆弾です｣

イヤモニに手を当てて連絡を取っている警察の後ろで私は爆弾を覗き込む。

ピッ、ピッっと機械的な音が恐怖を逆撫でしていた。

『タイマーはもう30分を切ってる。…解く？避難させる？』

「…何者だ、外に出てなさい」

『出来んのかって聞いてるの。私ならあと少しで解ける』

警察側の立場からすれば、一般人の私を関わらせないようにしたいのはわかる。

でも、爆弾解体がかかってるこの状況でついついイラッとしてしまい口調が鋭くなった。

｢風見っ！｣

でもそんな私たちを遮るように飛び込んできたのは、また新しい男の声。

いや…、どこかで聞き覚えのある…

『…は』

｢……え……風見、、、この女性は｣

｢私が来た時には爆弾に向かっていました。奥の犯人を拘束したそうです。えっと…お知り合いですか｣

キラキラと光を跳ね返す色素の薄い金髪。

明るい青の綺麗な目。

そして褐色の肌。

見慣れた顔だ。

かつて、仲間として同じ組織に属していたことがある。

ただ、あの時と違うのはピシッと着こなされたグレーのスーツ。

コードネームはバーボン。

安室透…いや、本名はフルヤレイとか言ったっけか？