猫の手まで借りたいなんて思ったことは無い ページ22
「その後どうですか。……その、例の女性は」
「
警察庁。
自分が警視庁所属ながら何度ここへ足を運んだかは知れない。
目の前のデスクでパソコンに向かう我が上司の顔を見ながら、俺は恐る恐る尋ねた。
幸い彼の機嫌を損ねるなんてことはなく、「なんでそんなことわざわざ聞いたんだ?」と聞きたげな顔で上司は首を傾げた。
昨日、某テーマパークにて偶然出会った女性、京A。
彼女が元FBIの潜入捜査官であり、俺の上司にあたるこの降谷さんとは組織潜入時からの知り合いだと知った時は度肝を抜かした。
確かに体格差のある男の犯人を気絶させ拘束したり、爆弾を見て構造を把握して解体に持ち込もうとしてたり……。
一般人には出来ないようなことをやっていたなぁ、、、。
「すみません、本来私たちが監視すべきところを全て降谷さん1人に任せてしまって……」
「いや、別に構わんよ。昔も同じような事をしてたしな」
「昔も……?」
昔も同じような事、、、?
それは組織の人間だった彼女に対して特に気を張って生活していた……と言うことだろうか?
はっ!待てよ……!
もしかして彼女と一緒に暮らしていた……!?
同棲してたと言うことだろうか……!?
「風見」
「はいっ!いいえ、いかがわしいことなど何も……!」
「何を言ってるんだ、、?……まあいい、資料は」
「あっ、はい!こちらに……」
いかんいかん……。
京捜査官に気を取られて本来の目的を忘れていた。
事前に作成していた資料を手渡す。
……多分、今日1番の山場はこれだろうな、、、。
「………………は?」
「FBIとの連携で進める手筈に決定しました。上層部の意向だそうです」
「…決定にゼロを通さなかったのは?」
「……降谷さんは反対するから……と」
「当たり前だろ」
手渡した紙資料の題目は日本国内連続誘拐、及び変死事件について。
そしてそのすぐ下に見える【連邦捜査局との連携】の文字。
さらにその下の主要メンバー欄に記載された【降谷零】【赤井秀一】の並び、、、、。
降谷さんの整った顔がピキピキと音を立てそうな勢いで歪み引き攣るのを感じた。
うわぁ、、嫌なんだろうな。
ありありと感じられたその嫌悪感に、俺も方頬を釣り上げるばかりの笑みで応えるしかなかった。
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作者名:cherry* | 作成日時:2022年8月23日 11時