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ここが私のプリズンって訳ね? ページ13

荷物を最低限にまとめて、ホテルをチェックアウトする。



狭いRX-7にキャリーケースを詰め込んでその助手席に乗せてもらう頃には、綺麗なオレンジ色の夕暮れがこの米花町を包んでいた。



















……日本らしい。

その建物を見た瞬間、私の頭にはそんな言葉しか出てこなかった。





これから2人で暮らすにしては少し手狭なアパート。

その一室に大きめのキャリーケースをお供にして転がり込む。








『なるほど、ここが私の牢屋(プリズン)ってわけね?』

「俺のアパートだ。別に牢屋じゃないから人聞きの悪いことは言うな」




横から伸びてきた手刀が私の脳天を叩く。

おいおいちょっと?
手加減したらどうだ??




そんなこんなで入口で止まったままの私達を見つけて、主人の帰りを待ちわびていた白いワンコが奥から走ってきてはレイに飛びついた。

…かわいい。





『ワンコ〜!!』

「ハロだ。去年から飼ってる」

『かっわいい、、』

「ハハッ、だろ?…香り物に敏感なんだけど、、」






ハロはくんくんと鼻を動かす。
いやまずい…私、香り物好きだから結構香水使ってるしなぁ…。






「アンっ!」

『わ!…ちょ、くすぐったい』

「へぇ、君の香水は大丈夫みたいだな」







勢いよく私にも飛びついたハロのふわふわな毛が私をくすぐる。

そんなハロを抱き抱えると、私の持っていた荷物はレイが代わりに持ってくれた。


靴を脱いで部屋に上がると、目の前に置かれた大きなキャリーケースを見てレイはため息を零す。







「参ったな…、かなり狭くなるぞ、、」

『レイが物を持ってないだけじゃない?これくらい普通でしょ……ね、ハロ?』

「アンっ!」

『わぁ……レイ、ギター持ってるんだ』

「あのなぁ、家の主がいる前で勝手に奥に進むなよ」

『別にいいじゃん、今日から私もここにお世話に……わっ!?』








ピカッとカーテンの裾から覗く窓の外で光が瞬き、少し遅れてゴロゴロと大きな音が鳴る。



雷だ。
激しくうちつける雨の音もうっすら聞こえる。





隣のレイがカーテンをサッと開けると、暗くなってきた外が見えるようになった。







夕立ち。
ジメジメと暑い。
もうそんな季節なんだなー、と若干月日の速さを考えた。






「そういや雨予報だったな、」と頭を搔いたレイ越しに、私は外を見ながら耳を塞ぐ。

.→←case.2



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作者名:cherry* | 作成日時:2022年8月23日 11時

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