いえ、パンダです2【降谷零】 (ページ7)

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case.9-路地裏にてページ7

時刻は8時くらいだろうか

誰もいない狭い路地裏を半ば壁を伝うように進む

先程までパンダとしての情報収集で、都内で行われているダンスパーティーに出席していた

ここで現在マトリと公安が追っている重要人物による薬の取引が行われると情報があったのだ

マトリとの協力の元で1人で乗り込んだのが馬鹿だった

たまたま取引不備による喧嘩が起きて、近くにいた数名が巻き込まれたのだ

当然私は一般人として紛れているため武装していなかったし、ターゲットの観察のため近くにいた

そのため流れ弾やナイフでの負傷をしてしまったのだ

『って……』

しくった

右手で強く握って抑えた左腕から血が流れている

頭はガンガンと痛むし、目眩もする

暗くなってきたので人通りは少なく、幸い今は路地裏なので人目につかない

一刻も早く自室に戻りたいけど、そこまで歩いていく元気は無さそうだ

今頃警察が到着して犯人たちは抑えられている頃だろう

元々マトリの現場なためあの場は任せて大丈夫だ

先程テレビニュースで速報になっていたから、あれ以上長くいたら危ないところだった

公安たるもの身分を隠すべし

私はあんな所でテレビに映る訳にはいかない

『っ……』

にしても痛い

左腕は銃によるかすり傷

一応応急処置はしたけど血が止まらない

頭が痛いのは何故だろう

貧血だろうか……

「あ、おいお前何して……A？」

『……？』

目の前に立ち塞がったサングラスの天パ……

『……松田さ……ん？』

「ひでぇな……怪我か…っとにかくこっちだ、俺の家が近い」

『いっ……』

「痛てぇな、我慢してろ」

松田さんは警視庁捜査一課の刑事さんだ

零さんとヒロ先輩の同期であり、私もわりと仲良くさせて貰っている人でもあった

まずい見られたと思うよりも早く、松田さんは私を軽く横抱きにして歩く

「もう着くからよ…」

ほんの数分で着いたその家は、小さなアパートだ

監視カメラも無さそうだが、一応私がカメラに映らないように配慮しながら彼はその一室に私を招き入れた