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『…………あっ』





それは突然だった

手応えを感じたのだ





終わりの見えなかったパスコードの書き換えだったが、ようやくその端っこが見えてきた

勝ち筋が見えた

そう言っても過言ではない






いける

書き換えられる



そうすれば扉は開く

みんな助かる












「残り3分、もう離れろ!」







でも、時間はシビアだった

中から聞こえた怒鳴り声は間違いなく零さんのもので、また間違いなく私に告げられたものだ







『……まってあと10秒』

「だめだすぐ逃げろ」







手はとめない

止めたくない







爪が折れそうなくらい叩きつけていたコード、その最後の1桁





ピピッ


鳴った音は今までと相変わらずのものだが、その指し示す意味は違う

コード書き換えに成功したのだ








これでロックのかかっていたセキュリティは無効化された

よって私の作ったウイルスが潜入し、この閉ざされた扉の鍵を開けることが可能になる











『……よしっ』











立ち上がってウイルス注入の動作を済ませた時だ









「まだいるのか!?2分50秒!早く走れA!!」









その言葉で我に返った

3分になったら逃げろと言われていたはずだ







「救かる人間は救かれ!……無駄にするな」

『っ……パスコード書き換えに成功、私のウイルスが無効化されたセキュリティに入って扉を開けるまでおよそ1分30秒!』

「……逃げろ」

『……っ、、下にいます。先に……降りてますから……』








私のウイルスで扉が開くのは、爆発の30秒ほど前になる

猶予はあまりにも短い






語尾が消えていくのがわかった





理解してる

ここに留まっちゃ行けないことくらい分かってるから








『……絶対降りてきて』

「……ああ」











私の手はギリギリ間に合わないかもしれない

零さんは解体に成功しているだろうか






無駄な考えばかり頭に浮かぶ






溢れ出る悔しさとつらさの塩水を敢えて拭わず、元来たように階段を駆け下りた




少しでも、被爆する可能性のある最上階から遠ざかるために

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作者名:cherry* | 作成日時:2022年7月12日 21時

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