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射撃場にて ページ26

side:風見裕也





公安警察としてこの身を国に捧げる中で、休みというものはなかなかやってこない

今日はたまたま午前中だけの勤務で、たまたま平和だった為に午後は帰れることになった

家でゆっくりして日頃の疲れを癒せばいいものを、職業柄と言うべきか、性格と言うべきか…いつの間にか足はこの場所に向かっていた






パァンと乾いた音が聞こえる

日々、帯銃することが多い俺は1週間に1、2回暇が出来てはここに通うようになっていた

警察が所持している拳銃等の訓練施設だ





上司である降谷さん曰く、「銃は手入れが大事」との事

毎日解体して手入れしているが、それでも発砲なんてそうそうしないので腕は訛る




いざ、と言う時のため

何時でも正確に発砲するために腕は磨ける時に磨いておかなければならない












「お疲れ様です」

『お疲れ様です風見さん』





普段はなかなか人と会わないのだが、今回は先客がいた

成瀬さんだ

自分より5つも若いが、降谷さんと同じ立場で俺の上司として日本を背負う






一足先に撃っていた彼女の目の前の的には、4つの穴が空いていた



ひとつはど真ん中、もうひとつは1個外側の枠、もうひとつはさらに外側の枠…と言ったように穴は真横に一直線になるように綺麗に並んでいる



(的の使い方…通常と違うんですけど…)



もとより降谷さんから「あいつに拳銃を持たせたら怖い」と聞いていたが、「危なっかしくて怖い」と言う意味ではなく「正確すぎて怖い」と言う意味だったとは…

こんな人間離れした神業、もちろん降谷さんでも不可能だ




彼女が構えているのは日本警察採用のSAKURAと言う名が付けられた拳銃

5発装弾だから、恐らくこれがリロード前最後の1発




パァンと高くなった音

やはり寸分も狂うことなく、1番外側の穴の真横に綺麗に当たる






「…凄いですね」

『SAKURAは使い慣れてますから。でも本命はこっち』





そう言ってAさんは机を指す

これは珍しいけど、自分にとっては見慣れた拳銃だ






「これは…降谷さんの」

『H&K、P7M8。扱いが難しいらしくて』

「借りたんですか?」

『いや、これは私のです』







そう言って彼女は残弾を確認する

扱いが難しいらしい…と言うことはまだ使ったことはないのか?

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作者名:cherry* | 作成日時:2022年7月12日 21時

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