いえ、パンダです2【降谷零】 (ページ23)

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case.11-机の下にてページ23

｢おっ、A｣

『ヒロ先輩？あれ、登庁ですか？』

｢上から呼び出されちゃってなー｣

『うへぇー、大変』

警察庁の廊下

資料室から出てきた私と、今これから資料室に入らんとするカジュアルなジャケット姿のヒロ先輩

今日は私たち(ゼロ)の方からは呼び出しをしていないはずなので、普段は警察庁に居ないその姿にびっくりする

てっきり零さんが個人的に呼んだのかと思ったけど、上から呼び出されたと言うあたり、概ね潜入任務の旨で上層部に呼び出されたってことだろう

｢今日はゼロと？｣

『はい、この前のキャンプの件の詳細資料の作成とかですけどね』

｢忙しいな、｣

『それほどじゃないですよ、零さんがやってくれたので。私の仕事もこれで終わったし…』

｢気になってたんだけどさ…｣

改まった調子で話題を変えたヒロ先輩は、私の目を真っ直ぐ見る

でもすぐに逸らしてちょっとだけ頬を染めると、気まずそうに頭をかいた

｢もしかしてゼロと付き合ってる？｣

『……………………………へっ！？』

｢え？｣

カァッと頬に熱がこもり、頭の中が真っ白になる

普段は考えないようにできるのに、こういう不意打ちにはめっぽう弱い

慌てふためく私を見て初めは驚いたヒロ先輩だが、次第に面白がるような目線で私を見つめる

その視線に余計緊張を覚えた

告白は…された

多分、返事のようなこともした

いや…でも互いに思いを伝えただけだ

付き合うなんて話にはなっていない…と思う

私たちは公安警察だ

第1優先はいつだって日本、そして日本国民

時には命さえ投げ出さねばならないほどの重責を私も彼もそれぞれ抱えている

…そんな私たちは恋人なんて関係になれるのだろうか

『っ…いや、あのっ…』

｢ゼロもAも、別に隠さなくてもいいのにー｣

『ちがっ…』

からかうような口調に恥ずかしくなる

あーだめだ、今は反論も否定もできないくらいに冷静になれない

『なっ…』

｢…な？｣

『内緒っ…です』

最後まではっきりしない私の反応にちょっとだけつまらなそうな顔をしたヒロ先輩

そんな彼から逃げるように勢いよく頭を下げて廊下を走りながら部屋まで戻った