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「容疑者が絞られたって…どういう意味だ?」
「被害者の女性の身元が彼女の持っていた身分証にて判明しています。彼女と同じ団体のキャンプ客をまずは疑うでしょう。それに凶器の刃物はキャンプ場にて見つかりました。通報後、キャンプ場に戻ったと考えるのが現状です」
「何故凶器がナイフだと?」
「それは通報にて知らされています。現在、そちらの方は鑑識です」
「ただの通報による情報にしては内容が濃くないか?おそらく通報したのはAさんと電話した安室さんなんだろ?一般人にそんな詳しい通報ができるものなのか?」
「安室さんがどなたかは存じ上げませんが、事前情報としてそれらの情報が与えられたのは事実です」
食い気味な真純ちゃんに押されて部屋を出ようとした風見さんを呼び止める
『待って刑事さん。そこのカップ。中身はおそらくコーヒーで、ひとつは被害者、もう1つは犯人の唾液がついてる可能性が高い』
「……こちらも鑑識に出します」
風見さんは私の耳元に近づく
後ろで先程のカップを見に行った真純ちゃんには聴こえないように耳打ちした
「犯人の顔は」
『見えませんでした。…私たちが犯人と接触した際、被害者の声が聞こえなかったのが気がかりです。でも私たちは確かに血塗れたナイフを持つ犯人を森の中で見かけてます』
「…どういうことでしょう」
『刺殺場所があそこなら、ここはおそらく睡眠薬か何かを投与するための場所だったはずです。カップの液体のどちらかにそれが検出されればビンゴかと』
「なるほど」
『鑑識なるはやで』
「結果がわかり次第連絡します」
『この小屋も調べて置いてください。連絡は私じゃなくて全て高木刑事か松田刑事に』
「了解。現場は刑事部に任せてありますので私は顔を出せません、近くまでは送ります」
『ありがとう風見さん』
「無事で良かったです」
風見さんは私たちに向き直り「移動しましょう」と声を出すと小屋を出る
2人きりになった部屋で、真純ちゃんの疑いの目はそのまま私に向いた
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作者名:cherry* | 作成日時:2022年7月12日 21時