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そこそこ大きな小屋

蜘蛛の巣が沢山あるが、ホコリは少ない

それがどこか異質で不気味だ




中に入って手前の部屋で止まると息を整える






「随分体力あるんだね」

『まあね、もともと運動は得意だし』

「電話の相手は安室さん?」

『さあね、信用できる人だよ』







疑うような真純ちゃんの口調に、私はなあなあに答える

……この蜘蛛の巣、何かおかしい





「……それがどうかしたのか?」

『……変じゃない?これ』

「……蜘蛛の巣にしては汚い……というかランダム、、?」

『ランダム……』








それなら近くにアレがあるはずだ

そう思い周囲を見渡す





……あった

暗い部屋で唯一と言っていいほど、白く目立つ2つのマグカップ



ひとつは持ち手から見て右側に飲み物らしきカスが溜まっていて、ひとつは床に落ちて中身がこぼれている

そのカップと蜘蛛の巣を、即座に私はスマホで写真に撮った











私の推理が正しければ…ここは…




私は真純ちゃんの手を引き、開けっ放しのドア裏の小さなスペースに押し込む

服が黒に近い私は、そのまま蓋になるかのように同じスペースに体を押し込んだ






「Aさん?」

『静かに、しばらくこのまま……』








キィ……とドアの開く音がする

きっとここは…おそらく犯人が利用した小屋だ






蜘蛛の巣は普段規則的に組まれる

それが不規則になるのには色々な理由があり、そのうち割と知られているのは、コーヒーによる《酔い》である

……つまり、あのカップの中身はコーヒーである可能性が高い








入ってきた人の足音が近づく

その足音はすぐ隣まで来る























……見つかる、、、




































次の瞬間に背中を襲ったのはナイフで突き刺す痛みではなく、トントンと軽く叩く手の感触だった







「大丈夫ですか」








かけられた声には覚えがある

警察庁で何度も苗字を呼ばれる馴染み深い声だ







『かざっ……刑事さん』

「ひとまずキャンプ場へ、皆さんが心配しておられました」

『犯人は……?』

「見つかりませんでした、一応警察が捜索中ですが不審者はいません。…そして、キャンプ場内にて容疑者が絞られています」







ドア裏の狭いスペースからでると、やはり疑うような視線の真純ちゃんと目が合う

彼女は今、私を相当怪しんでいる

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作者名:cherry* | 作成日時:2022年7月12日 21時

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